シェアハウスの不正融資問題に関連して、スルガ銀行創業家岡野家ファミリー企業への不正な資金の流れで、銀行に損害を与えたとして、岡野光喜前会長ら旧経営陣4人と現在の取締役1人に対して、総額約32億円の損害賠償を求めた訴訟の第1回弁論が開かれました。
被告側の岡野光喜前会長らは請求棄却を求め、争う姿勢を示しました。新聞各紙よりお伝えします。
スポンサーリンク
スルガ銀行岡野光喜前会長ら訴訟
創業家のファミリー企業に対する寄付や不当な担保解除で銀行に損害を与えたとして、スルガ銀行(静岡県沼津市)が岡野光喜前会長ら旧経営陣4人と現在の取締役1人に連帯して総額約32億円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が12日、静岡地裁(小池あゆみ裁判長)で開かれました。
訴えられた対象者は
岡野光喜元会長とその他3名、白井稔彦元専務、そして、今もスルガ銀行で取締役を務めている八木健取締役合わせて5名です。
被告人数は5人とされていますが、なぜか朝日新聞は、「旧経営陣ら8人」と記載しています。
スルガ銀行が訴えた内容
スルガ銀行が、岡野元会長らを訴えた内容は、「ファミリー企業への不適切な与信管理で会社に損害を与えた」「ファミリー企業向けに不当な寄付をさせたり、融資の担保の解除をさせた」というところです。
シェアハウス不正融資の訴訟は別
今回の訴訟は、シェアハウスの不正融資とは別件の損害賠償請求となります。
シェアハウスの融資で、経営陣が銀行に損害を与えたとする訴訟は、昨日の口頭弁論に先んじて、2月の8日に行われました。
こちらの件では、スルガ銀行が訴えた相手は、岡野元会長他、旧経営陣8人です。
金額は総額35億円で、スルガ銀行は、2つの訴訟を通じ信用失墜や財務悪化を招いた旧経営陣の責任を追及するとしていますが、こちらの訴訟においても、岡野元会長ら9人は、請求の棄却を求めています。
岡野ファミリー企業の美術館に47億円の寄付
訴状によると、スルガ銀は2012~17年、岡野氏が代表理事を務める美術館に約47億円を寄付。
岡野氏の実弟で副社長を務めた故喜之助氏の主導で寄付は行われました。
しかし、「寄付」というのは名目で、実際はファミリー企業の資金繰りや借り入れの弁済などに充てられたと、銀行側は主張しています。
つまり、寄付ということでお金を送ったが、実際には、またそれが、融資の返済として支払われたことになっていたということでしょう。
ファミリー企業の数は、30社以上。
そのうち、12社への融資額は02年時点で1200億円に上ったが、回収を進めた結果、18年3月には488億円に減ったとされています。
その膨大な金額の穴埋めが、「シェアハウスへの融資であったわけですが、それは、スマートデイズ社が計画倒産を織り込んだ詐欺といっていいもので、破綻することは目に見えていました。
銀行がその行為に加わった理由は、経営が苦しくなったファミリー企業の維持であり、シェアハウスへの融資を経ても、結局は破綻の避けられないものだったのです。
岡野光喜元会長の責任は
連帯請求の範囲は、故喜之助氏の責任が最も重く30億円。次いで岡野光喜元会長に対しての請求額が13億円としています。
訴状では、岡野副社長について「自らが実質的に経営に関与するファミリー企業の利益を優先した」として善管注意義務違反と忠実義務違反を訴え、前会長についても「より慎重な判断が求められる」としています。
第三者委員会の調査においても、岡野喜之助副社長が「もっとも責任が重い」とされたわけですが、会長職を務めていたのは、岡野光喜氏です。
シェアハウス投資で、人生を狂わされた被害者にしてみれば、「亡くなった人の方により重い責任」というのは、どうにも解せないところではないでしょうか。
なぜかこの報道に関して、朝日新聞は、「岡野光喜前会長ら旧経営陣ら8人に総額約32億4千万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回弁論」と報じていますが、こちらの件は「岡野光喜前会長ら旧経営陣4人と現在の取締役1人に連帯して総額約32億円」(毎日新聞)が正しいと思われます。
一つ目の提訴が、シェアハウス不正融資についてで、対象は旧経営陣ら9人、今回は、後から追加で行われた、ファミリー企業関連の提訴、対象者5名です。
追加提訴と、その内容、調査であらわになったファミリー企業についての詳しいところは、下の記事にあります。
本日のスルガ銀行関連のニュースは以上です。