タワーマンションの修繕費はいったいいくらなのか。修繕費が高い、足りないという問題が、先日のクローズアップ現代で放送されました。
タワーマンションの番組の例では外壁の修繕が2億6千万円と高額であり、修繕費が不足、管理組合が苦労する様子が映し出されましたが、タワマンの修繕費というのはどのくらいかかるものなのでしょうか。修繕費と修繕積立金について調べてみました。
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タワーマンションの修繕費が高い!
クローズアップ現代で取り上げられた例とは、24階建てのタワーマンション、はじめての修繕で、修繕費用は2億6千万円。
理事会での説得の甲斐あって、住民の同意は取れたものの、せっかく積み立てた修繕積立金が2億円で、必要な費用には6千万円足りないことがわかり、結局修繕を見送ることとなってしまいました。
マンションの管理組合の理事長さんの苦労が画面からも伝わってきました。
ただ、このマンションの場合は、高層とは言ってもまだ24階建て、現在は容積率の緩和でそれ以上高いマンションも多数出てきています。
タワマン修繕の工期は1フロア1か月
たとえば東京西新宿の「ザパークハウス西新宿タワー60」は、60階建てのタワーマンションです。
外壁や内部の面積は大きいことはもちろんですが、ワンフロアにつき1か月かかるという修繕工事の工事期間から考えると、60階建てのマンションは単純計算で工期は60カ月かかることになり、費用も莫大なものになることが予想されます。
タワーマンションの修繕費が高くなる理由
タワーマンションの修繕費が高くなる理由は、一つには足場が使えないということにあります。
高さは45 M を超えるようになると、屋上から吊り下げて昇降させるゴンドラ、または建物にレールを設置し足場を移動させる移動昇降式足場、リフトクライマーが必要になります。
そしてこれらはそれぞれのマンションの形状に合わせたセミカスタムメイドとなるため、費用もかかることになるのです。
2022年にマンション修繕ラッシュ
また、今後2022年に向けてタワーマンションの修繕がラッシュとなるため、これらの機材と人手がこれまで以上に不足するのではないかとも言われており、修理費もそれによって上がる傾向にあるとも言われています。
クローズアップ現代のマンションが今回修理に至らなかったのは、当初の2億円という見積額がいざ修理となったら2億6千万円にまで値上がりしてしまったからでした。
修繕費が大幅な増額になったので、急に対応が出来なかったのですが、管理組合にとってたいへん気の毒でした。
しかし、これからは、このような事態も起こりうるという前提で対策をしていかなければなりません。
タワーマンションの修繕費はいくら?
2000年から増え始めた、タワーマンションの修繕はこれからなので、いったいいくらかかるのかということの数字がはっきりしないのですが、埼玉県川口市のタワーマンションの例では、1回目の大規模修繕の費用は12億円だったといいます。
成功例ではあるわけですが、築20年のタワーマンションで、それまでに貯めた修繕費を全部使い切ってしまったので、 15年後の次の修繕には修繕積立金が不足することもわかっています。
そのため次の修繕時期に向かっては、修繕積立金を増額するとみられています。
タワマン修繕の周期は15年
タワーマンションの大規模修繕工事の周期は、14年~15年が標準。
15年経ったら1回目の修繕をする、また15年経ったら2回目の工事、となるわけで、修繕費は2回目で足りなくなると予測されています。
とはいえ、クローズアップ現代のマンションでは、その1回目で積立金が不足するという例でしたので、安心はできません。
言い換えれば、30年後には、大方のマンションの積み立て金が不足するという事態が待っているのです。
それはなぜなのでしょうか。
タワマン修繕費の不足が避けられない理由
国交省のマンションの修繕積立金に関するガイドラインでは、二階建て以上のタワーマンションには1平方メートルあたり月170円~245円積み立てておくことが望ましいとしています。
しかし、その場合では全体で8割強のタワマンが積立金不足となることが分かってきました。
どうしてかと言うと、国交省の指示した1平方メートルあたり月170円を、実際には下回っているマンションが大半だからです。
一時金の徴収の可能性も
住民にとっては、積立金は少なくはない負担なので、もう充分払った気持ちになりがちですが、いざとなると修繕をしようとしてもお金がないのでできないということになってしまいます。
なので、どうしても必要なら、積立以外の負担である一時金の徴収が行われるということになります。
修繕積立金は値上げされる
いずれにしても、最初の入居時に決められた修繕積立金は、値上げをしなければならなくなりそうです。
これらのことから考えると、タワーマンションを購入すると、当初予定した金額よりも修繕積立金の負担が増える可能性はひじょうに高いのです。
修繕積立金でタワマンが売れなくなる?
未来のことは自分のことはわかっても、他の家の経済水準までは分かりませんので、支払えないというところが多く出てきた場合、修繕ができなければ、マンション全体の資産価値が落ちることになってしまいます。
それどころか、 タワーマンションが増えるにつれて修繕金がほぼ必ず不足するということが周知の事実となれば、将来的に中古市場で超高層マンションが敬遠されるのではないかという見方が出てきています 。
あるいは十分に積み立てようとしても、値段は安くても修繕費が高いとなったら、誰もそのマンションには住みたがらないでしょう。
そうすると残った住民だけで修繕積立金の分を分配する必要が出て来るので、負担は大きなものとなり、やがては支払い切れないことになってしまうでしょう。
今まだタワーマンションの多くが買うべきか買わないべきか、値段が安いか高いかということに視点がが集約されがちですが、修繕積立金の問題は、購入に際しても必ず注意をするべきポイントとなりそうです。
マンションの購入時には、上記の国交省の「1平方メートルあたり月170円~245円」をとりあえずの目安としてみてください。
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