老後2000年問題、年金と退職金だけでは不足する恐れありとの報告書を金融庁の審議会が提出後に、報道や議論が白熱しています。
新たに資産形成や投資セミナーに参加する方も急増しています。
しかし、2000万円という数字、そもそもどのような根拠で生まれてきたのでしょうか。2千万円の内訳を示しておきたいと思います。
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老後2000万円必要との金融庁の試算
上が金融庁の試算の図です。
夫65歳以上、妻が60歳以上、無職、年金暮らしという想定でのモデル、各項目は下に述べる通りです。
なお、この報告書は誰でも読めます。
https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/market_wg/siryou/20190522/01.pdf
収入総額は209,198円
収入に関しては、年金収入が大半で、191,880円。
他に、年金以外の収入4232円、勤め先収入4045円、その他9041円を合わせて、収入の総額が 209,198円となっています。
それでは今度は上の図の下の部分、支出の方を見てみましょう。
金融庁の報告書内訳
生活費の各項目です。
食費 | 6万4444円 |
住居費 | 1万3656円 |
光熱費 | 1万9267円 |
家具・家事用品 | 9405円 |
医療・保険 | 1万5512円 |
交通・通信 | 2万7576円 |
教養・娯楽 | 2万5077円 |
その他の消費支出 | 6万9946円 |
非消費支出(税金や社会保障費) | 2万8240円 |
合計 | 26万3718円 |
食費が6万円超は多すぎる
ここでもっとも疑問が湧くのが、夫婦二人の食費で6万4444万円というところです。
「家計調査の平均」となっていますが、総務庁の調査は比較的裕福な家庭を対象としたと言われており、外食の費用が含まれているというのが、高額になった理由であるようです。
疑問な住居費
それに対して、住居費は1万円超と、あまりに少額なのです。これは持ち家にしても、マンションなら、月々の管理費、戸建てなら新しければローン、古ければ修理費など、確実に上回ります。
賃貸であれば、マンションどころか、アパートにも住めない金額です。
車の運転は80歳でもする?
交通・通信には、車の費用が含まれるとのこと。ガソリ代の他、車のメンテナンス費用などですね。
ただし、高齢者ですので、70歳代を越えたら、車を手離すことも考えてもいい。80歳代となれば運転している人は車を所持する人もかなり減るのではないでしょうか。
タクシー代など 交通費は削れないとしても、車検などのメンテナンスや維持費、駐車場代などはかからなくなります。
「その他の消費支出」とは
あと、多すぎるとしたら、教養娯楽のあたり。旅行などに行ったとしても、月々2万5千円きっちりかかるというものでもなさそうです。
それと、問題は「その他の消費支出」。
「その他の消費支出」とは「諸雑費、こづかい、交際費、仕送り金」のことで、「非消費支出」とは税・社会保険料・借金の利息など。
税金など後者はやむを得ないとして、前者は定年前の生活を維持しようとするとかかる費用だということです。
しかし、月に7万円はどう見ても多過ぎます。少なくても、この半額くらいに抑えられないでしょうか。
「2千万円」はクリアできる!
そのように考えてみると、金融庁が差額として提示している、マイナス5万円の集積した、老後30年間に必要な金額「2千万円」というのは、何とかクリアできそうな気がします。
そもそも、子どもが巣立ったあとの、夫婦二人の生活として考えた時に、現役世代だとしても、生活費が26万円もかかっているでしょうか。
地価と住居費が高い、都市部の家はともかく、地方ではそういう家は少ないと思われます。
もし、現時点で、生活費が26万円かかっているというのなら、現時点での家計の見直しが必要だと思われます。
一つ心配なのは”住居費”
ただし、一つ心配なのは、上記の住居費の点です。
家は、賃貸ならお金がかかります。古屋なら修理やりフォームの費用も必要です。
ローンが終わっているかどうかでも違いが出ます。
住居費については急には対処ができないので、早めに準備をする必要がありますね。
特に住宅ローンの支払いが定年後も終わっていない場合は、借り替えがおすすめできます。
現在の家計でシミュレーションをしてみよう!
上の表の数字部分を空欄にしたものを載せておきますので、各ご家庭に合わせて、皆さんも数字を考えてみてください。
食費 | |
住居費 | |
光熱費 | |
家具・家事用品 | |
医療・保険 | |
交通・通信 | |
教養・娯楽 | |
その他の消費支出 | |
非消費支出(税金や社会保障費) | |
合計 |