年金の健康診断ともいえる財政検証が公表され、経済成長がなければ、年金水準は大幅ダウンするという厳しい結果となりました。
特に若い世代は30年後に年金額が2割減るという予想に。年金検証の概要をわかりやすくお伝えします。
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年金の”健康診断” 財政検証を公表
政府は28日、年金財政の健全性を5年に1度チェックする財政検証を公表しました。
検証では夫が会社員で60歳まで厚生年金を加入し、妻が専業主婦の正体をモデルにした6つのケースが示されました。
経済成長と、女性や高齢者などの経済参加が共に進むと想定したケース、1から3では、年金額は現役世代の収入の50%以上を維持できるとしています。
しかしその他のケースではいずれも50%を切る結果となり、最も悪いケース、6では、36%から38%に落ち込みます。
年金額は現役収入の50%
年金額の「所得代替率」は50%、すなわち現役世代の収入の50%を維持することが、法律で決められています。
厚生労働省は基礎年金の保険料の納付期間を現在の40年から45年に延長したり、パートやアルバイトについて厚生年金の加入対象を拡大するなど制度の改正案を示しています。
所得代替率とは
所得代替率とは
所得代替率」とは、年金を受け取り始める時点(65歳)における年金額が、現役世代の手取り収入額(ボーナス込み)と比較してどのくらいの割合か、を示すもの。所得代替率50%といった場合は、そのときの現役世代の手取り収入の50%を年金として受け取れるということになる。
老後2000万円問題の衝撃
今年6月には、金融庁が年金だけでは老後の資金が2千万円不足するとの報告書を明らかにし、年金生活への不安が広がっていたところでした。
年金が30年後に2割減る
もう一つ大きな衝撃は、年金が30年後には2割減ってしまうという予想です。
検証の結果については、根本匠厚労大臣が「持続可能」とコメントしていますが、経済成長が進む標準的なケースでも、およそ30年後には年金額が2割近く減るのですから、これまでと同じではありません。
これでは、若い人ほど損をするということになってしまいます。
さらには、悪くすると30年後よりも、35年後はもっと減ってしまう可能性も出てきます。
年金水準を挙げる対策
そうならない、年金を減らさないための対策としては、今のところ下の3つが挙げられています。
・納付期限を65歳まで、75歳までにそれぞれ延長する
・パートなども厚生年金に加入
・受給開始年齢を75歳にあげる
ようやく公表された財政検証ですが、いずれにしても100年安心とはとても言えない中身です。
専門家は特に、若い世代の人は公的年金以外の備えを考えていくべきだとしています。