相続登記が義務化されるかもしれないというニュース、しかも、相続登記をしないと5万円から10万円の罰金が科されるかもしれません。
さらに、相続人全員がそろわなくても簡易的に登記できるようにする、さらには土地の所有権の放棄などの案も同時に出されています。
今後、これを元に審議が進められるわけですが、その原案が日経新聞にまとめられています。
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相続登記が義務化へ
今回のニュースというのは、もちろんいきなり義務化が決まったというのではありませんで、報告書の内容の話にとどまります。
法務省の研究会が、所有者不明土地問題への対応を議論してきていましたが、所有者不明土地の対策として、相続登記義務化や所有権放棄制度の導入などを提言したということです。
その報告書は28日に提出されるとのことですが、内容を大雑把に言うと
・相続登記の手続きを簡素化する
・相続登記がなされない場合は、5万円から10万円の罰金を相続人に支払わせる
というものです。
下に詳しく説明します。
義務化の理由は所有者不明土地
今回相続登記を義務化するという案が出される理由はというと、全国に広がる所有者不明土地の増加を食い止めるという目的です。
土地の価値が低いと登記しないケースが多いため、所有者不明土地が増加。
全国に410万ヘクタールとなり、九州本島の面積約370万ヘクタールを上回ることが明らかになりました。
利用しようにも、登記がなされていないと、誰の持ち物かもわからず、放置するしかない現状であったのです。
今回の案は、それを改善しようというのが狙いなのです。
相続登記制度はどう変わるのか
それでは、相続登記制度と、我々の側から見た相続、それと、土地の放棄については、どのように変わるのでしょうか。
日経新聞の記事から、内容をまとめます。
相続登記に期限
まず、相続登記については
・被相続人の死亡時に簡易的な登記を義務付ける
・登記の手続きを簡素化する
その上で
・遺産分割を協議できる期限を「10年」と定め、その期間内に相続登記がなされなければ、登記を怠った相続人へ「10万円以下」や「5万円以下」の罰金を科す
という厳しいものとなるということなのです。
10年後は法定相続分で相続可能
・相続開始から10年で協議や申し立てがなければ、自動的に法定相続分に従って分割可能にする
相続人1人でも相続登記できる
・相続人全員がそろわなくても簡易的に登記できるようにする
土地の放棄について
・土地の放棄については、「所有を巡って争いが起こっておらず、管理も容易にできる」のを条件に、所有権の放棄を可能にすると明記
今、わかっていることは以上です。
これらがこれから議論の俎上に上がることとなります。
相続登記の義務化の議論
相続登記が義務化されるかもしれない、あるいは義務化した方がいいのではないか、という話はこれまでにも出ていました。
しかし、義務化しようとも、所有者不明土地の減少にはつながらないとする意見、また、義務化された場合でも罰則や、過料などはないというのが、これまでの話でした。
義務化しても無駄?
実際に、山野目章夫早稲田大学大学院教授が話していましたが、その際には、義務化をしたところで解決にはならない、結局所有者不明土地への特効薬のようなものはないとの事でした。
罰則はあくまで、「補完」ということでしたので、今でもそれは変わっていないと思われます。
九州の面積にまで増加してしまったものを、今からどうにかしようとしても難しいということなのです。
そして、土地を所有する側にしてみれば、売れないとわかっている土地を必ず登記せよ、厳しい話であるので、土地の所有権が放棄できるという案も、同時に出されることとなったようです。
土地の所有権の放棄
今のところ、原案は、売れない土地であって気が進まなくても、土地の相続登記はしなくてはいけないが、いったん相続登記をしても、放棄はできるということです。
ただし、放棄が可能になるにせよ、どちらにしても、相続登記をしないでおけば、罰金ということになり、さらに、土地の所有権の放棄をするにしても、お金がかかるという見方が大半です。
煎じ詰めれば、所有者不明土地がそれだけ増えてしまったということは、地価の下落が全国レベルで甚だしいということが根幹にある要因です。
土地の放棄をしたところで、けっして万々歳ではありません。
いずれにしても、土地は値打ちのあるうちに、できるだけ早く手放すことに越したことはなさそうです。