先日の「バイキング」の包装を内容を伝える記事シェアハウス不正融資 スルガ銀行問題 「バイキング」11日放映内容の3つのポイント抄録で、スルガ銀行の社員の給与が、メガバンクも入れて、国の銀行の業界の中で2位だという驚きの事実が知らされました。
だから、数々のパワハラにも「アメとムチ」として耐えられたのだとの、コメンテーターの見解が述べられましたが、一体なぜ、スルガ銀行の給与はそこまで高い設定であったのでしょうか。
そこに解答を与えてくれる、スルガ銀行員社員の発言と、社員がシェアハウス問題以前の勤務の様子を語ったものを、転職サイトから見つけましたので掲載します。
静岡銀行の対比と合わせて、 興味深い内容です。
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スルガ銀行のメガバンクより高い給与はなぜ?
スルガ銀行の年間平均給与(賞与・基準外賃金含)は810万6000円。
メガバンクといわれる三菱東京UFJ銀行の773万8000円や、みずほ銀行の744万5000円より高い給与となっています。
銀行の業界の中で第2位というスルガ銀行の給与の高さを、社員自身はどう思っていたのでしょうか。
「社員の数が少ないから」
スルガ銀行に勤める20代女性社員は、他の銀行に比べて給与の高いことを「知っていた」、そして「当たり前」と解答しています。
その理由は「社員の数が少ない。少数先鋭だから」というものでした。
「支社長含め10人未満」の配置
「ドラマで見る銀行の営業所には、働いている人が20人以上いると思います。しかしスルガ銀行の場合、ほとんどの営業店で10人程度しかいません。私が勤めていた店舗に至っては支社長を含めて10人未満で、その分、一人ひとりの仕事量が多くて大変なのです。ですから、給料が良くて当たり前だと思います」
それだけ、仕事量が多い。これは、おそらく営業の方も同じだったのでしょう。
だから、課せられるノルマが高くなっても致し方ないと思っていた社員もいたと思われます。
スルガ銀行1,500人、三菱UFJは3万人
しかし一方で、メガバンクの一つである、三菱UFJ銀行の社員は、従業員の数を比較し、それに対しての給与の高いことは「比較にならない」と答え、次のように述べています。
「スルガ銀行の従業員1,500人に対し、うちは3万人を超えている。20倍もの差があるのに、その平均を比べて年間で数十万円多いといわれても、まるでレベルが違う話」
また同時に、スルガ銀行の社員平均年齢42.5歳に対し、みずほ銀行は37.7歳と語るみずほ銀行員もおり、同じ年齢での厳密な比較ではないため、第2位という結果だけをみても、必ずしも正確ではないとの見方もあるようです。
スルガ銀行のパワハラについて社員は?
スルガ銀の営業部の男性は、勤務の様子について、次のように語っています。
数字を作ることが非常に好きであれば、耐えられるような仕事内容。個人へのノルマは非常に高く、達成できなければ言葉での暴力は当たり前の職場。基本的には数字しか見ていないため、数字を作るためなら違法時間労働も当たり前のような風潮があるので、どうしてもブラック企業を楽しめるという人にはお勧めな企業です。
迂遠な語り方で「お勧めな企業」と終えていますが、内容をみれば就職や勤務を勧めているのではなさそうです。
スルガスキームへの社員の把握
高利の個人ローンについて、ある社員は年利が7.0%~11.0%の限度額が800万円の「ロードバイク購入ローン」のような個人ローンについて、
「そのローンも、普通のサラリーマンに低い金利で組むものは取り扱いせず、他行を利用できない訳ありの人に高い金利で貸したり、一部の高給取りや医師に高い金利で大金を貸したり、他行との差別化ができているので収益が上がっているのだと思います」
と把握しており、これも今回のシェアハウスのような不動産投資の融資、いわゆる「スルガスキーム」にもかぶる内容です。
将来性を信じていた社員
まだ、シェアハウス問題が明るみに出る以前は、社員の把握する今後の将来性については「スルガ銀行ではここ5年ほどの間だけでも常に新しい商品や企画が開発」されており、担当者として「社内で取り扱うものがガラッと変わっていったのが、手に取るように分かった」。
そのため、強い商品開発を含めて「将来性はある」と、この社員は感じており、そのように解答していましたが、今となっては何とも言いようがない内容です。
静岡銀行と銀行の「性格」の違い
静岡県で、収益が第1位となっているのは、スルガ銀行ではなく、静岡銀行でした。
静岡におけるメガバンクとも言われており、バブル期にも不良債権を出さなかったというのも驚きです。
静岡銀行と異なるビジネスモデル
スルガは個人客しか相手にしませんが、静銀は優良企業が主な融資先であり、静岡銀行は地方銀行の王道を行くことで高収益を上げ、スルガ銀とは、営業の対象となる客種が違ったようです。
「同一エリアに地盤を持っていますが、営業上はほとんどバッティングしません。スルガ銀行は高金利の住宅ローンやカードローンが収益の中心で、ミドルリスクからハイリスク層への融資が強く、当行の融資対象とはややずれているからです」
スルガ銀は、これまで「一般的な銀行とはビジネスモデルが異なる」、つまり独自のスルガスキームによって、社員の高給を維持できていたわけですが、給与の低下どころか、そもそも銀行の存続自体が危ぶまれることになってしまいました。
この、銀行の就職の情報ページも、スルガ銀行は今後は素通りされていくことになってしまうでしょう。
スルガ銀においては、シェアハウスの不正な融資に加担した社員もいますが、もちろん、まじめに勤めていた社員も多くいることでしょう。
今度の事件でいちばん落胆しているのは、あるいはそのような社員であるかもしれません。(文中の語り他は、テンショックのサイトより)