シェアハウス投資が経営破綻し、スマートデイズの投資者オーナーらが多額の負債を背負った問題で、東京足立区が23区で初めてとなる実態調査を行いました。
その結果、区内のおよそ70棟のシェアハウスが「かぼちゃの馬車」で、全体で330棟のシェアハウスがあることも判明しました。
足立区は今後、条例改正によるシェアハウスの規制強化に乗り出すというニュースです。
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足立区内のシェアハウスは313棟
足立区が区内のシェアハウスの実態を調査したところ、現在、足立区内にはシェアハウスの数は、建築中のものも含めて313棟あるということが分かりました。
前の記事では120棟でしたので、それよりはるかに多い数字であると判明しました。
足立区内の「かぼちゃの馬車」は70棟
そのうち、スマートデイズ社運営の女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」は、およそ70棟あるということです。
別な報道では「スマートデイズ社が83棟。同社の別ブランドのシェアハウス STEP CLOUD(ステップクラウド)も含めて120棟」(『週間東洋経済』の調査)と言われていました。
足立区の調査の数字はやや少なくはあるものの、シェアハウス全体の数は、313棟という集計です。
シェアハウスを扱った販売会社は
最も多いスマートデイズ社の他に、サクトインベストメントパートナーズ、ゴールデンゲインが、足立区にシェアハウスを販売、運営していたことが知られています。
シェアハウス売却が相次ぐ可能性
オーナーの大半は、スルガ銀行からの融資によってそれらのシェアハウスを建設しました。しかし、スルガ銀行は文書を改ざんするなどの不正な融資を行い、スマートデイズ社はシェアハウスの所有者オーナーに支払うべき家賃が支払えずに倒産。
投資したオーナーの多くが、億単位の多額の債務を背負うことになったため、このあとは「かぼちゃの馬車」など物件の多くが、売りに出されることが予想されます。
それについて、足立区・開発指導課の佐久間浩課長は、次のように話しています。
「このまま放っておくとオーナーが不動産を手放してしまう。不動産がどうなるか予測すると、貧困ビジネスや違法民泊に転用される恐れがある。先手を打って実態調査を行った」
そこで、足立区は、区内のシェアハウスは建築基準法にのっとっているとしながらも、経営が行き詰まった物件が悪用されるのを防ぐため、管理体制を厳しくするなどの条例改正を行う方針を固めたということです。
シェハウスは売れるのか
足立区の対策というのは、シェアハウスが売れてからのことですが、実際の所有者はそれより以前の方がより深刻な状態です。
スルガ銀行は元本カット
スルガ銀行は、不正な融資の責任を取って、融資をしたオーナーに個別に交渉を行い、元本カットをしている最中です。
シェアハウス1棟がほぼ1億円であり、たいていのオーナーの受けた融資は自己資金なしで同額の1億円前後が多くそれが減額されることはほぼ決まっています。
元本の減額はどの程度?
その上で、どの程度減額されるのか、そして、シェアハウスの建物自体が一体どのくらいの額で売れるのか。減額された残りの債務をシェアハウスの売却額で埋められるかどうかが、多くのオーナーが心配するところでしょう。
買いたたかれる可能性も
それ以前にも、シェアハウスの建物が、少なくともスマートデイズ社運営の数70棟を越えて一時に売りに出されるとなると、どうしても、価格が暴落してしまいます。それでなくても、最初から数千万円を水増しされている物件なので、1億円の建物であっても1億円では売れません。
間取や設備に不備な点
さらに、スマートデイズ社の「かぼちゃの馬車」の場合は、建物内に、共有スペースが少ないなどの問題が指摘されてきました。
また設備の点でも、ドアクローザーがなく、防火設備にも難点があります。今後運営するにあたって、大きく改築せざるを得ない場合もあり、その点も売却額が下がる可能性が高いでしょう。
家賃減額も
また、区内には運営を続けているシェアハウスももちろんあるわけですが、足立区にこれだけ多くのシェアハウスが集中してしまうと、部屋数に対しての利用者の数のバランスが取れず、需要が少なければ、シェハウス間での競争が起こり、家賃を減額せざるを得ないことになります。
賃貸物件の売却の時にはさらに価格が下がる要因になってしまい、他の場所ならともかく、足立区のシェアハウスの処分は厳しいことが予想されます。
オーナーの中には満室であっても、家賃の維持に及び腰で、「周辺にはシェアハウスがたくさん建っている。家賃を上げた途端に入居者が出ていってしまいそうで、怖くて上げられない」と語る人もいるくらいです。
新しく建設されてまだ入居者がいないシェアハウスも、今は運営がストップしている状態ですが、これらが安く売りに出されるとなると、現在運営中のシェアハウスや他の賃貸も圧迫される可能性が高いです。
自転車操業の無計画性
たとえば、コンビニなどであれば、周辺のどのくらいの距離に他のコンビニが建っているかなどを調査して、それらを把握の上で、新しい店を建てることになります。
しかし、スマートデイズ社他の場合は、今後の運営のことは考えておらず、新しいシェアハウス建設の代金を受け取ると、それを家賃支払い他の必要な経費に回すという自転車操業を行っていたため、何の計画もなく売れるだけどんどん建ててしまったのでこうなってしまったのです。そもそもが最初から詐欺の「計画倒産が目的」だったとも言われています。
足立区は今回「先手を打って」条例規制を行うとのことですが、このような業者が出てくることはもっと早くに懸念すべきです。今後はシェアハウス等の賃貸物件の建設を制限することも必要になるのではないかと思われます。