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「水戸はダメ。死ね」茨城県部長投稿の水戸はどんな町?地価下落でも残る魅力

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10日のニュースに、茨城県部長が自身のフェイスブックに「水戸はダメ。死ね」と書き込みしたという報道がありました。県部長が挙げた「水戸」は、水戸市のことで、茨城県の県庁所在地です。
「水戸黄門」で知らない人はいない水戸市ですが、水戸というのはどういうところなのか、町の様子と現在の不動産価値をめぐってルポしたいと思います。

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「水戸はダメ。死ね」茨城県部長が不適切投稿

フェイスブックに「水戸はダメ」と書いたのは、茨城県営業戦略部の堀江英夫部長。
5日夜の書き込みで、約2時間後に削除。友人限定の公開で、約700人超が閲覧可能であったということです。

堀江部長は取材に「当時は酒を飲んで記憶が無く、なぜ書き込んだのか分からない。反省している」と謝罪。

その後、大井川和彦茨城県知事から厳重注意処分を受けることとなりました。

茨城県営業戦略部とは?

営業戦略部というのはどういうところかというと、「茨城県の魅力アップに取り組む」部であるそうです。

民間シンクタンクの都道府県別魅力度ランキングで6年連続最下位に沈む同県の企業誘致や観光振興、農産品の販路拡大などを担う部署とされています。

昨年4月、大井川和彦知事の肝いりで新設されたということなので、まだ発足して間もない部で、これからと思われるのに、この書き込みが問題化してしまいました。

「ドワンゴ」出身の大井川和彦知事

大井川和彦知事は、異色の経歴を持つ知事であり、ニコニコ動画の運営会社であるドワンゴの取締役を経て、茨城県の知事となっています。
そのため、スピーディーな施策を行うと知られています。

最近の目につく施策の一つには、決裁の電子化があります。茨城県庁が決裁を100%電子化したというものです。

魅力の点では最下位であった茨城県が、これについては全国初という快挙で、やはりこれは民間企業、それもトレンドに沿うドワンゴの取締役であった大井川知事ならではの施策と言えるかもしれません。

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周囲とのあつれき

しかし、朝日新聞の報道によると、いくらかの問題点も指摘されています。

新知事の下で県庁は政策、組織とも大きな変化を迎えている。民間経験を生かしたスピード感は評価を受けているが、周囲との意思疎通などをめぐっては、きしみも出ている。(18年3月29日朝日新聞紙面)

今回の件では、大井川知事より堀江部長を厳重注意処分となったわけですが、茨城県の魅力度は6年間ワーストの地位を不動にしており、「茨城県の魅力アップに取り組む」部といえば、実績を上げにくいことも予想されます。

競争の激しいネットの最先端である「ドワンゴ」に居た知事との間では、それなりの軋轢もあったのかもわかりません。

しかし、背景はどうあれ「魅了アップ」を担当する部署の長が、酔っていたとはいえ、職務とは真逆の発言をわざわざネットで発信するとはおかしなことといわざるを得ません。

水戸は県庁所在地で唯一地価下落

ともあれ、水戸は衰退が叫ばれるのは事実ですが、もっとも、それは地方都市どこにでも言えることであって、水戸に限ったことではありません。

しかし、地価に関して言うと、「関東の県庁所在地で唯一地価の下落が続いている」という指摘が、東洋経済誌に載ったことがあり、やはりこの点では問題は大きいようです。

記事タイトルは「茨城の県都・水戸、なぜ「独り負け」が続くのか」というものです。2017年時点での地価についての内容で、宇都宮市と前橋市の最高価格地点は横ばいであるのに対し、水戸市だけ地価の下落が続いているというものです。

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相次ぐデパートの撤退

特に駅前の衰退が著しく、今年になって残っていた丸井も撤退。この20年間で、7つか8つあったデパートは既に撤退し、駅前の西友の跡地は7年間も空き地のままになっていて、利用の方途すら見つからないことになっています。

市街地空洞化の原因は?

いわゆる市街地空洞化の現象ですが、考えられる原因としては、二つ離れた駅やその他の郊外に、イオンモールができたこと。

そして、水戸の場合は特に、県庁がそれまであった場所から、駅の反対側に移転をしたことで、駅前の空洞化が強まったようです。

明暗を分けたつくばエクスプレスと新幹線

しかし、宇都宮でもこのような郊外拡散は起きているものの、地価の下落は起きていない。

つくばは水戸とは反対に人気が上がっているのに、なぜ水戸だけがというと、同じ県内で、つくばエクスプレス(TX)の沿線に人口が流れたこと、また、前橋、宇都宮に比べて、新幹線が通らなかったことなどが原因とされています。

茨城県では特につくばは全国レベルで町の評価が高く、つくばエクスプレス(TX)の開通で、通勤圏ということになり、都心からも移り住む人がいますので、それまでの県内のランキングが逆転した感があります。

土地の坪単価は、2017年時点で、つくば駅周辺は23.2万円、守谷駅は34.3万円、対する水戸は、18.1万円に下落しています。

これを見ては確かに「水戸はダメ」だといわざるを得ない数値です。

支店撤退と商業地域の衰退

「リーマンショック後は企業の支店撤退が相次いだ。水戸市中心部のビルはテナントが抜けて、空室率が高止まりしているところもある」(不動産鑑定士の塚本修一氏)

これは、当地の有名な洋食店に効いたことがありますが、近くにあった銀行の支店が一つなくなっただけで、売り上げが数百万円落ちたというのですから、相当厳しいものがあります。

支店がなくなるということは、人口の減少と共に、それだけ周囲への影響が大きいのです。

平坦地である住みやすさが人口分散に

また、茨城県全体が平坦地であるという地形的には住みやすい土地がたくさんあるというメリットが、むしろデメリットとなって、県庁所在地に人口が分散してしまったということも、水戸市衰退の理由の一つにあるようです。

水戸市への人口集中率(県内での人口割合)は、9.3%と全国の県庁所在都市の中で最も低い(2015年)。もともと求心力が高くない中で、県南部のTX沿線や近隣県にまで人や企業が流れていき、水戸市の地価は下がり続けていった。(東洋経済誌)

「水戸の地価=町の評価」なのか?

しかし、水戸は本当に「ダメ」なところなのか。
ダメといえば、極端なことを言えば地方都市は皆ダメです。茨城県でいえば、水戸より北の県北地域は、東海村を除いて、皆消滅可能性都市として名前が挙がっています。

これは他の北関東の県でも同様です。施策でどうなることではありません。

それでもその土地で何とか工夫をして生きていかなくてはいけない、これからはそういう時代になったのです。

そうではなくて、地価の下落は即、町の評価となってしまうものなのでしょうか。

不動産投資ならともかく、よそからその土地を訪れる人がいるとしたら、それは「地価の高さ」と直接関係があるわけではありませんね。

水戸芸術館や偕楽園

復元工事中の水戸城大手門付近

水戸の以前の市長に至っては「芸術館」を建設。有名な音楽評論家吉田秀和を説得して、小澤征爾氏を指揮者に迎えるなど、どこの市にもできないことを市レベルで行ったという実績もあります。

また、世界中を見ても、街中の公園としたら、ニューヨークのセントラルパークに次ぐ大きさである「偕楽園」があります。

ここは入場料を取らずに整備、拡大され、市民にも、訪れる人をも常に迎え入れる体制となっています。

最近では復元工事中の大手門のある水戸城付近は、散策の道ができており、こちらも素晴らしい街並みです。

地価の下落はそれはそれとして、水戸には他の地にはない良いところもあり、文化施設と歴史にに関しては評価は変わることはないと思われます。

有意義なもの、立派なものはたくさんあって、東京からも人が十分呼び込める、それが「ダメ」と言われた水戸の一面であり、これも揺るがしがたい事実です。 

県都である水戸は茨城県の「顔」でもある。水戸の中心部がかつての賑わいを取り戻さないと、県全体のイメージにも陰りが波及しかねない。流出が続く人や企業をいかに水戸へ呼び戻すか。地元の経済界や行政が連携した抜本的対策が迫られている。(同)

弘道館

町のイメージアップは、なかなか難しいことではありますが、空き家対策と同じで「何もしないで放置」というのはもっともいけないことです。

「ダメ」といって捨ててしまうのはあまりにももったいない歴史のある町です。

むしろ今回の不適切発言をきっかけに、茨城県ばかりでなく、水戸市とも力を合わせて、引き続き見直しを計ってもらいたいと思う次第です。

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