今日たまたま家人に付き添って行った歯医者の待合室で、スルガ銀行関連の週刊誌の記事を読んでいたら、スルガ銀行が「地銀の優等生」、そして金融庁の森信親長官が「A級戦犯」という表現を見かけました。
これは一体どういう意味なのか。金融庁長官がスルガ銀行とどう関りがあるのでしょうか。
関連する記述を追って調べてみました。
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「地方銀行の優等生」とは?
スルガ銀行は、これまで「地方銀行の優等生」としばしば表現されてきました。
残念ながら、今後の調査結果によっては何らかの処分を下されることが推測されますので、今では皮肉として用いられている表現なのは言うまでもありません。
独自のビジネスモデルで最高益
スルガ銀行は、個人取引に特化した独自のビジネスモデルで5期連続過去最高益を上げてきました。「個人取引に特化した」というのは、シェアハウスのオーナーのような企業ではない個人の投資家も含まれます。
スルガ銀行は、それで高い成績を上げてきたわけです。利用者が多かったのは一つには、高い金利でありながらも、下に挙げるような融資の融通が利いたのが理由のようです。
ただし、一部の経験のある投資家たちは、金利が高過ぎるとして敬遠する向きもあり、それは周知のことであった印象です。
おそらく今回のシェアハウスの投資家たちの多くは、銀行に融資を受けるのは初めで、金利その他の条件等の比較には至らなかったのかもしれません。
ましてや、運営会社スマートデイズ社の勧める銀行がそこだけとあっては、考えることもしなかったでしょう。
地銀トップクラスの収益力
スルガ銀行全体では、17年度中間決算は本業のもうけを示す単体のコア業務純益は331億円。横浜銀行、千葉銀行に次いで全64行中3位、収益力は地銀トップクラスと言われていました。
他の地銀よりリスクを取り、高い金利でローンを実行し、回収しているということだ。スルガ銀行の利用者は「返済が1日でも遅れると、電話がかかってきて消費者金融のようだった」という。
群を抜く「スルガスキーム」
上の「リスク」というのは、建物が耐用年数を越えたり、通常7割のところを満額の融資、物件の場所が銀行のテリトリーを越えるというような、銀行側にとっての悪条件があっても、4.5%の高金利で融資を引き受けてしっかり取り立てをすることで、それが成り立ってきたということのようです。
これまではそれが、スルガスキームと言われるスルガ銀行の新しいビジネスモデルの成功例として知られるところでした。
森長官「A級戦犯」のいわれ
そして森長官が「A級戦犯」とのいわれは、その成功を「地銀の優等生」として他の銀行の手本とせよと「スルガ銀行のビジネスモデルを見習えと絶賛していた」ところにあります。
今回のシェアハウスのトラブルが明らかになったため、「あれだけスルガ銀行を褒めたたえた森長官はA級戦犯だ」という意味合いです。
言うまでもなく、現在スルガ銀行を調査しているのも金融庁です。これまでの評価を与えたのも今後処分を裁定するのも、同じ一つの機関が行っていることになりますが、これだけ規模の大きな問題になってしまえば、いかにこれまで褒められていた銀行ではあってもやむを得ないところとなるはずです。
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支店だけかスルガ銀全体か
今後のポイントは、改ざんが支店レベルの話だったのか、それともスルガ銀行全体にも波及することになるのかという点です。
もし、支店レベルの話であれば、支店長はもちろんですが、銀行の米山社長が辞めれば済むと言われます。しかし、銀行全体が改ざん含め一連の行為に関わっていたとなれば、創業者の岡野光喜会長兼最高経営責任者の責任も問われることになると言われています。
つまり、主導が支店か本店かがトップの人事を決めることになりそうです。銀行側としては傷を最小限に抑えたいところでしょうが、それよりも問題なのは、そのような人事問題が背景にあるために、どうやら金融庁が「特定の一部支店の問題として収め、組織ぐるみの問題にはしたくないのが本音であろう」(朝日新聞WebRonza)と記されている点です。
最初は、スマートデイズ社単独の画策かとも思われましたが、シェアハウス以外にも一棟アパート、さらには簡易宿泊所と広がり、改ざん書類に至っても通帳のみならず源泉徴収票までもが書き換えられていたとなっては、スマートデイズ社はおろか、一支店だけの問題でもないのではないだろうかという疑問も湧いてきます。
「組織ぐるみの問題にはしたくない」とあるということは、逆に組織ぐるみの可能性も既に見え隠れしているということに他なりません。
とにかくも調査の結果を待つ他はありません。
13日の金融庁の立ち入り検査から2週間以上が経過しています。