積水ハウス事件

積水ハウスの担当者の責任は?地面師に騙され63億を支払った流れ 不法侵入で詐欺と気づくまで

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世間を騒がせている積水ハウス地面師事件、カミンカス操ら地面師と呼ばれる詐欺グループが所有者になりすまして、積水ハウスに土地を転売、55憶円をだまし取ったというものですが、積水ハウスの担当者を案じる書き込みがネットのSNSで起こっています。

今回の事件で、積水ハウスの担当者は問題の土地取引にどう関わったのでしょうか。そして、騙されて55億円もの被害を出してしまった担当者の方はこの先大丈夫なのでしょうか。

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積水ハウスが騙されて土地を買った流れ

積水ハウスが、土地の情報を聞きつけて、地面師たちに接触。土地代金として支払った63億円のうち、55億円を詐取された流れは次の通りです。

売却の契約を取り付けた土地は、品川区西五反田の旅館海喜館の跡地で、価値は入札になれば100億ともいわれる、高額の物件でした。

所有者が入院中のタイミングを狙う

地面師たちは、まず、所有者が入院中という情報を得て、そこから売却に向けて行動を開始。最初は積水ハウスほど大きくはない不動産会社や業者数社に売却を打診。

いずれも偽装を見破られましたが、その際「失礼なやつだ。積水ハウスが待っているから結構だ」と捨て台詞を残して電話を切ったといいます。おそらく、そのあたりで積水ハウスに話を持って行くことを考えていたのでしょう。

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担当者が情報をキャッチ

積水ハウスの担当者が、土地が売りに出ていることを知ったのが、2017年3月。五反田の駅から徒歩3分という立地の良さで、以前から不動産業者たちに「売りに出されない土地」として知られており、その立地からも「のどから手が出るほどほしい」土地でありました。

不動産業者というのは情報の交換を常にしていますので、方々につてがあり、地面師はそのパイプ役を通じて情報を流したか、あるいは以前から面識のあった社員がいたものとされます。

また、しばしば疑いの声を聞きますが、積水ハウス側に内通者がいたというようなことはおそらくないでしょう。

※これについては、新たな情報が判明。下の記事に詳しく記載しています。

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土地購入の会議と会長の現地視察

話はすぐ上の方に回り、2017年4月14日に購入交渉を進めることを会議で決められました。そして、18日には当時社長だった阿部俊則会長が現地を視察しました。この時は敷地の中や建物内部ではなく、外から行ったものと思われます。

先に社長決裁が行われた

そして、早くも現地視察の2日後の20日、稟議(りんぎ)書は役員の一部の確認を後回しにして、20日に社長決裁が行われました。この書類は社内各所に回り、皆が知るところとなりました。

担当者らが、地面師の一味と接触を始めるのはその「社長決裁」のあとでした。

土地の所有者のなりすまし役と初めて接触

同日20日、積水ハウスの担当者とさらに幹部社員らが、社長決裁の命を受けて土地の「所有者」になりすました、羽毛田容疑者に初めて面会しました。

羽毛田容疑者は、もうひとりの女性地面師がなりすまし役のためにわざわざ探し出した女です。演技指導も行われたともいわれていますが、干支を間違えたり、誕生日が言えなかったり、また住所の番地を間違えるなど、あまりにお粗末なものでした。

しかし、業者を装ったカミンスカス容疑者と内縁の夫役などがフォローを行い、担当者も他の幹部社員もそこで偽物と見抜くことはありませんでした。また、一部報道によると、地面師側が雇った弁護士が同席し、それが印象を良く信憑性を高めたとも言われています。

書類の偽装に気がつかず契約へ

地面師側は書類を提示しましたが、土地の権利証は原本ではなく、カラーコピーでした。また、本人確認のパスポートを含め、書類はすべて偽造されたものでしたが、積水ハウス側は見抜くことはできませんでした。

そして、24日に売買契約を結び、手付金約14億円を支払ったのです。

担当者だけの責任か?

ここまで読まれた方はわかると思うのですが、積水ハウス側で土地を購入する際には、必ず担当者一人で契約するわけではなく、会社の上部の決裁、つまり承諾の書類や印などが必ず必要です。

そして、この場合は大口の取引ですので、まず、社長が社長決裁で同意している他、幹部社員も、売り主との面談と契約には同席をしています。

さらに、書類と登記関係の書類の最終チェックに関しては、登記の手続きというのは、司法書士でなくてはできないため、担当者ではなく、専門の司法書士が行います。もちろん、積水ハウス側の顧問弁護士も必ずいます。

そしてこの顧問弁護士に関しては、下に述べるように担当者に忠告をしているのですが、しかし、少なくてもこの時点までは、必ずしも担当者が一人で決めたり、一人で地面師に会ったりしたわけではないのです。同席した人は他にもいたと思われますし、その場で話をしたのも、最初に土地の話を聞いた社員一人だけではないでしょう。

土地の本物の所有者から連絡が

しかし、このあと、まだ土地の代金が支払われず、登記もされていない状態で、まだまだ、所有者が本物でなく、地面師の詐欺を見破れるチャンスが訪れることになります。というのは、土地の本物の所有者から連絡が来たからです。

仮登記後の5月10日には、本当の土地所有者名義で「売買契約はしていない」とする内容証明郵便の最初の通達が届きました。その後23日までで計4通が同社に届いたといいます。

怪文書や嫌がらせと判断

しかし、積水ハウス側はこれを「怪文書の類い」と誤った判断をしてしまったのです。これは、担当者一人が行ったものか、あるいは、上部の人間も閲覧をしたのかはわかりません。

とにかく積水ハウスが登記を済ませなければ、他の会社に取られる可能性があります。そこで、担当者他はそれを「嫌がらせ」であり、積水ハウス側に取引を中止させようとする意図を持って送られたものだとして、送り主の確認その他、内容証明便に対する何らの措置をも行いませんでした。

顧問弁護士が助言

おそらく怪文書問題を受けてだと思いますが、担当者は、積水ハウスの顧問弁護士からは「所有者」を名乗る女について知人による本人確認をするよう助言も受けたといいます。

しかし、そのせっかくの忠告も無視し、「所有者の機嫌を損ねる」として、それをしなかったのです。

建物を見に行って警察が

そして、6月1日には代金約49億円を支払い、本登記を申請。

その日に積水ハウス側は現地へ行って、元旅館であった建物の内部に入ったところ、センサーの警報が鳴って警察が駆けつけることになったといます。これは仮登記を警戒した本物の所有者が設置したものでした。駆け付けた同署員や地主の親族に不法侵入を指摘され、そこで初めて詐欺に気がついたと言います。

何せ警察の前で、本当の所有者が事態を説明しているわけですから、今度こそ疑う余地はないわけです。そこで、あらためて羽毛田正美容疑者に確認しようと接触を試みたが、既に連絡が取れなくなっており、話の持って行きようもなくなりました。

その9日後の6月9日、品川区の法務局出張所から、登記が却下の表明。地面師グループの詐欺を裏づける書類の偽造が確定したわけです。

まとめ

本物の所有者からの連絡に耳を貸さなかったのは残念ですが、そもそも信じていないで70億のお金の受け渡しはしようとは考えませんので、あるいはそれも致し方なかったかもしれません。

購入に関わった積水ハウス側の人物も1人や2人ではありません。同じ地面師の主導でアパホテルも騙されているということもあり、それほど巧妙であったともいう専門家もいます。

いずれにしても会社なのですから、利益も損益も皆で共有することになるでしょう。この騒動のあとで、積水ハウスの和田勇会長兼最高経営責任者(CEO)が辞任をしています。

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