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積水ハウスに内通者は居たのか?55億地面師詐欺に騙された社員の痛恨

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大手住宅メーカーの積水ハウス(大阪市北区)が土地取引で所有者を装った「地面師」に55億5千万円をだまし取られたとされる事件、話が持ち上がってからわずか2か月後の登記申請ということで、大口の土地取引としては、あまりにも早い契約成立です。

当初から積水ハウス側に内通者、または協力者が居たのでは? という疑問の声が上がっていましたが、本当のところはどうだったのでしょうか。

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地面師事件現在の動き

 

積水ハウスの地面師事件、これまでに8人が逮捕されましたが、フィリピンへ逃亡主犯格とも見られるカミンスカス操容疑者は国際手配されました。

また、昨日は一連の事件の逮捕者の9人目、佐々木利勝容疑者の逮捕がありました。佐々木容疑者は、偽造した書類を元に虚偽の登記を行おうとしたほか、積水ハウスから受け取った55億以上のお金を振り分けて入金する複数の口座を用意したとされます。

地面師たちは「内通者」を仕立てていた

地面師グループの主導役の一人とされ、別の地面師事件で収監中の男(65)らは、28年9月ごろから犯行計画を進めていたといいます。この収監中の男とは、アパホテルの地面師事件で同じく所有者になりすまして12億5千万を詐取し逮捕されていた男で、地面師として知られており、いわば大物の地面師と言われています。

西五反田の土地所有者の「入院中」を狙う

男は「売りに出ない土地」として不動産関係者の間で知られていた、西五反田の土地に目をつけました。刑務所に服役中であって、自分は外部に出られないのにそのタイミングで事件を起こそうとしたのは、女性が入院をしたというのが、詐欺の契約を進めるのに好機であったからです。

そこで、積水ハウスに問題の物件の売却を持ちかける前に、積水ハウスほど大手ではない会社などにも、何度も売却を打診していました。

 

積水ハウス以外には地面師も詐欺を見抜かれたが

ところが、所有者になりすました羽毛田正美容疑者が、干支や住所を間違えたり、生年月日を答えられなかったり、果ては「ゴールデンウィークはどちらへ行かれますか?」の雑談で、物件のある西五反田が代々の住まいであるのに、「田舎に行く」などと失言をしたりしました。

それら不審を誘うような言動に加え、書類の偽造が見破られると言ったことが相次ぎました。元々地面師の被害というものは、ほとんどの業者によく知られたものであって、業者はそれらの警戒を常に持っています。

しかし、地面師らは、所有者の女性の入院中に契約にこぎつけなければチャンスを逸します。そこで、積水ハウスに接触をする際にそれまでとは別な方法を考えついたのです。

積水ハウスに通じているブローカーを利用

積水ハウスの会社内に急に内通者を作るというのは無理な話です。そこで、事件の立案者は、最初から積水ハウスにつながりのある不動産業者を利用することを考えつきました。

それが今回の地面師事件で最初に逮捕された一人、生田剛容疑者(46)を使う方法です。生田容疑者は元々地面師の一味ではなかったのですが、積水ハウスの社員と懇意だったため、地面師グループは生田容疑者を仲間に引き入れることから、今回の「仕事」を始めたのです。

 

食事会で積水ハウス社員と知り合いだった生田容疑者

生田容疑者は26~27年ごろ、芸能プロダクション社長の自宅で開かれた食事会で積水ハウスの社員と知り合いました。この社員は、マンション用地の買収にかかわる部署に在籍したといいます。そして、食事会には芸能関係者や弁護士らのほか、建築士などの不動産関係者も出席し、物件情報の収集場所にもなっていました。

食事会は定期的に開催され、逮捕時に生田容疑者と同居していた近藤久美容疑者(35)が、社員に手料理をふるまうこともあったとされますので、相当アットホームな雰囲気のものであったようです。

ブローカーの集まる「会社」で地面師と接触

生田容疑者と積水ハウス社員は上のようなつながりでした。一方、地面師グループと生田容疑者の関係はというと、おそらく下に記述する近藤容疑者の架空の会社のようなところで他のブローカーと接触があり、そこで今回の地面師一味と接点があったと見られています。

地面師グループは生田容疑者を一味に引き入れることとし、「生田容疑者が所有者から土地を60億円で買い取った上で積水側に70億円で転売する」という方法で、生田容疑者がまず、親交のあった積水ハウス社員のその話をしました。

その仲介役をすることで、生田容疑者に10億円以上を渡したとされますので、生田容疑者は仕事の一部を引き受けたのです。

土地の購入に伴い、多額の資金を支払うことになる相手を信用させるのは容易ではありませんが、生田容疑者の場合は実名であり、実在する会社の経営者で身許が割れていますから、その社員は疑いを持たず、その話を会社に持ち帰ったのです。

直前に仲介役の会社を変更

そして、29年4月上旬には、生田容疑者自身が経営する会社を介して土地を転売するという契約の締結を決定。その後、「節税のため」として仲介会社を変更。

2つの会社名称は酷似しており、積水側は提案を了承しましたが、変更された仲介会社の代表は近藤容疑者が務めており、後に休眠状態だったことが判明しました。

事件後に積水ハウスから追及を逃れるため、実体のない会社に変更した可能性があります。この会社の登記簿には、役員の1人として元代議士の家族の名前が記載されていましたが、元代議士は「家族の知り合いだった近藤容疑者から事務所関係者が頼まれ、名前を使われた。会社のやったことは全く知らない」と話しています。

しかし、捜査関係者は「その部屋には不動産ブローカーが多数出入りすることで有名だった」と指摘しており、生田容疑者がここで地面師グループ側と接点を持った可能性があるとも見ています。

事情に詳しい暴力団関係者は「地面師が案件を仕掛けても、警戒されてほとんどが破談になる。だます相手と知り合いであるケースはきわめて珍しく、事前の面識の有無が犯行の成否を分けたのだろう」と話しています。

まとめ

今回の地面師事件では、社員が内通者であったり、また、不正を働いたとかということではなかったようです。

しかし、社員へのコネのある人物を最初の情報を流す段階でまず使ったことは、積水ハウスへの立派なパイプ役として機能をしたことになります。

さらに、生田容疑者が実名で会社も実在するものであったことなどが、積水ハウス側の信用を得ることになり、今回の地面師事件が成り立ったのは間違いありません。

カミンスカス容疑者が7億円、他に主犯格の2人が8億円を分担と言いますから、10億円以上を受け取った、生田容疑者の役割はそれだけ大きかったということでしょう。

しかし、残りの30億円はどこへ行ったのか。一部の銀行口座を担当した佐々木利勝容疑者が昨日逮捕されましたが、厳重な取り調べを進めていただきたいものです。

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