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児童相談所建設で南青山の地価は下がらない 住宅評論家の桜井幸雄さん「むしろ価値を高める」

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港区南青山に区が児童相談所を建設にあたっての説明会で住民の反対に合った問題で、住宅評論家の桜井幸雄さんが、「児童相談所で南青山の価値は下がるのか」の文章をyahooニュースに寄せています。
結論を言うと「価値に対する影響はない」ということです。内容をご紹介します。

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南青山児相問題とは?

港区が国から取得した南青山の用地に、児童相談所(以下、児相)を含む子育て支援拠点を建設するにあたって、住民が反対をしているという問題です。

南青山に児童相談所他施設の概要 児童相談所を中心とする、複合児童施設の建設を100億円で建設。開所は2021年4月を目指すとされています。

児相建設前に6回に渡る住民説明会

それに先立って、南青山の住人に対して、これまで6回の説明会を開いたとあります。今回伝わってきたのは6度目の説明会の内容ですので、それまでにも反対住民の声によって紛糾していたということになりますが、反対がはっきりしたのが8月頃だったということです。

南青山住民の児相建設反対派が会を結成

地主や住民でつくる「青山の未来を考える会」という会が発足。住民が反対しているということが広まった10月時点で住民計約150人が参加したといいます。 当時から、住民が区の職員に対して怒鳴り散らす場面などがあり「異様な雰囲気だった」と参加者が語っています。

南青山の住民が児相建設に反対する理由は?

反対派の会ができたその時点で「超一等地にそういうもの(児相)を持ってくると港区の価値が下がる」という意見があり、「青山の未来を考える会」の佐藤昌俊副会長(63)の主張が、「土地の価格が大きく下がるリスクがある。不動産所有者が大きな被害を受ける」というものが主な主張だそうです。

そこで、大きな疑問となるのが、「児童相談所ができると、南青山にある土地や家の価値が下がるのか」ということです。

その疑問に関して、住宅評論家の桜井幸雄さんが、今回次のように説明を述べています。

南青山にある土地や家の価値は児相建設で下がるのか

前例はどうかというと これまで、「児相ができたことによる影響事例を探したのだが、みつからなかった 」ということです。児相以外の公共施設の影響としては、葬儀場の例が挙げられています。

葬儀場建設にあたって、周辺住人の猛烈な反対が起きたが、葬儀場を建設。結果、地価への影響はなく、周辺住人は何事もなかったかのように葬儀場を利用している……。(https://news.yahoo.co.jp/byline/sakuraiyukio/20181219-00108061/)

櫻井さんは国家公務員の宿舎問題など、国有地の売却に関して知識もある専門家です。

また、地元の不動産業者の意見としては、千歳船橋駅付近の不動産業者は

(児相に限らず)児童施設の周辺物件は『騒がしいから』などと、入居や売却が遅れるケースはある。ただそれが地価に直結するかというと、そこまでではない(日刊スポーツ)

と、地価への影響を否定しています。

町にもある「村八分」的スタンス

児相ができてこれから移ってくる人たちへの既存の住民の態度は、まるで、田舎の移住者への「村八分」を思わせます。このような住民間の軋轢は、田舎でしか起こらないと思われていましたが、説明会の初弁は、まだ見もしない相手に既に排斥の態度が顕著に現れているようです。このような逆の意味での関心が「隣は何をする人ぞ」の都会にも起こるということが、むしろめずらしく思われます。

地価下落などハード面での支障ではなくて、もっと「その子どもたちがつらい思いを…」「ランチが1600円」など「相手」への細部にわたる思いめぐらしがなされているのは、どう見てもドライな都市の人間関係には見られないウェットさがあります。
後者のご意見など「新参者は何を食べているのか」のような、相手が定まらない前から逆に生活の細部にまで興味がなければ出てこない発想かもしれません。

不動産の価値は固定したものではない

それはどうでも、田舎に住んでいて、町の衰退と土地の値下がりを目の当たりにしていますと、もっと別なところが意外というか不思議な感じすら覚えます。

つまり、不動産の資産価値を固定したものと考える、その考え方です。またそれが、今回の「反対」のような自助努力のアクションによって不動産価値が保つというそのことも含めてです。

資産価値の保てない地方

町が衰退しない、周辺環境も変わらない、地価も下がらない。それらは地方においてはもはや期待すべきものではなくなりました。

「何億円も投資をして南青山に家を買った」という意見がありましたが、地方では地価は違っても、全財産を使って買ったものが、ゼロになるということが軒並み起きています。この場合の資産価値は到底、個人や商店街レベル、あるいは町ぐるみであっても維持ができるようなものではありません。

逆に、そのような暴落の話がそちこちで出て入るのも事実なので、あるいは児相建設に関わらず、元々自身の所有するものの資産価値が下がるのが心配なのでこのような話が出てきているのかもしれないとも思います。

他人の土地に保証はない

また、その土地に何が建って誰が住むということが管理できるのは、あくまで自分の土地だけというのは、言うまでもなく自明のことです。他人の土地、それが区が所有する土地だろうが、そこをどうするかは他人の及ぶところではありません。

隣にある日マンションが建って、日照がさえぎられるというようなことはどこにでもあります。たとえそれが、こちらの不利益になろうともそれは致し方ないのです。

登記制度の意味

逆に言えば、それが「ここからここまでの区間には他者の侵害が起こらない」という意味で、土地の登記制度があって、それが「私の土地である」とする所有の概念ができているのです。それ以外の自分の土地でないところは自由は利きません。それが互いの盟約です。

何億もの大金を払って「投資した」というのなら、それは投資に失敗したともいえます。空き地のないところに買えばよかった。あるいは、巨額の投資ならば、周囲に何が建つのかも事前に調べる方が賢明でしょう。

しかも不動産は流動性のあるものである以上、空き地でないところであってもいつか売却されて、新しい建物が建つ可能性は常にあります。

もし児相ができて、地価が下がるというのなら、今のうちに売るしかないでしょう。株ならば「下がる」とわかっている、あるいは自分でそう思っている株を持ち続ける人は誰も居ません。そのお金で別なもっと条件の良い株を買う。そのように売却したお金で別なところに越せばいいのです。これらは、すべて地方の空き家とその相続に関するアドバイスとも同様のことです。

外国人が増える東京

そして、地方と大きく違うところを、櫻井さんが述べています。それは、「これからの東京は、外国人が増えてゆく。」というところです。もっとも、あるいはこちらも地方の町部に共通するところかもしれませんが。

これからの東京は、外国人が増えてゆく。少子化による人口減少への対抗策で、国は外国企業の呼び込みに必死であるからだ。その外国人は、南青山のような一等地に児相があることをどうとらえるか。

櫻井さんは、明らかにそれがプラスイメージになるだろうと言っていますが、これを読んだら、逆に何とも言えない思いになりました。

もはや、青山に児相がどうのなどという局所的な問題ではないのではないか。

地方では、空き家がいっぱいでゴーストタウン化する。そして、都会はコスモポリタン化する、というならまだいいですが、実際には、都会ではゴーストタウンにはならない代わりに「無国籍化する」道をたどるのかもしれません。東京がそうなるということは、日本という国がそうなるということです。

その時にもし、隣に外国人の居住区域ができるか、それとも児童相談所ができるか、どちらかを選べと言われたら、どちらを取りますか。

 

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