レオパレス21のアパートの施工不良発覚で、1万4400人あまりの入居者が転居を求められている問題で、再び賃貸アパート投資のサブリース契約の問題が注目を集めています。
しかし、今回心配されるのは、アパートオーナーの経営悪化だけではありません。日本経済新聞がアパートオーナーが抱えるローンは総額2兆円規模と記載。レオパレスの経営悪化だけでなくオーナーの今後、さらには貸し手である地方銀行への影響も懸念される事態となってきました。日経新聞の記事よりお伝えします。
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レオパレス21のアパート施工不良数はどこまで
レオパレス21の施工不良問題、レオパレスが当初10月までと期限を切った補修工事について、国交省が「夏まで」と期限を早めるよう通達しました。
現在もレオパレスのアパートの調査と施工不良のチェックは継続しており、もし新たな不備が見つかれば、補修対象になるアパートの数が増加する恐れは十分にあります。
施工不良アパートの補修工事にかかる費用は
補修工事の費用はまだはっきり分かりませんが、7700人が早期の転居と補修工事を求められている界壁の未設置については、 一説によると、天井の取り外しによって、ユニットバスを交換しなければならない場合で、一室につき100万円かかることもあるそうです。
また、グラスウールを使うところに、発泡ウレタンを使用した外壁については、現在レオパレスが新たな申請を行っていますが、もしそれが通らない場合は建て替えの可能性も示唆されており、そうなった場合は、1億円前後の出費となるかもしれません。
今のところ、いったいどれだけ費用がかかるのか、まだ見通しがつかない状態です。
レオパレスの経営悪化でオーナーの収入が
施工不良を意図的に出した会社であれが、経営悪化も免れないと思われますが、その場合に心配なのが、 レオパレスと契約を結んでいる アパートオーナー達です。
補修工事のためには入居者を一旦転居させなければなりませんが、入居者がまた戻るとは限りません。
また、レオパレスのアパートに対するイメージが著しく悪くなってしまったため、安全性その他に不安を持った人たちが、レオパレスへの入居を避ける事態も考えられます。その場合の入居率の低下によってアパート経営が立ち行かなくなることも予想されています。
レオパレスアパートオーナーのローン総額は2兆円
そしてそれらオーナーのローン総額はいくらなのかというと、日本経済新聞によるとその総額が2兆円にも及ぶとのことです。
シェアハウス投資の損害額1000億円台と比べても、桁違いに大きな金額です。
オーナーに融資をした地方銀行
オーナー達がそのローンをどこで借りているかと言うと、レオパレスのアパートは全国に渡っており地方も多いため、多くは地方銀行が融資をしています。
言うまでもなく、地方銀行の経済状況は地方の衰退によって思わしくない所へ、オーナーがローンを返済できない事態になった場合、いわゆる「焦げ付き」の影響の大きさが心配されるところとなってきました。
レオパレスの収入を維持する「入居率と賃料水準」
日経新聞が上げる正確な数字では、毎月レオパレスに入る賃料収入は約360億円。このうち約230億円がオーナーへの支払いに充当されるということです。
その流れを維持するものは「入居率と賃料水準」。 新聞はそれを「生命線」と表現しています。
もっと言うと命綱と言った方がいいかもしれませんが、これが切れた時には、オーナーと、そして地方銀行も、レオパレスもろとも倒れる可能性があるのでしょうか。
また、レオパレスが思わしくない場合、 以前からサブリースの仕組みについて当ブログでも説明しているように、レオパレス側はサブリース契約の賃料をいつでも引き下げられる立場にあります。
レオパレスの経営が悪化したり、 入居率が著しく低下したりすれば、賃料を低下することで収益を維持しようということは当然に起こると思われます。
ローン支払いに困ったオーナーのできること
前の記事で、賃料を半額に減額されたオーナーが手持ちの土地を売った上、さらにアパートの立っていた土地までも売却する事態になったことをお伝えしました。
資産がある人は、手持ちの資産を減らすだけで対処ができますが、それがない場合には破産するオーナーが頻出するというのが、これまでのサブリースの問題点の予想でした。
レオパレス本体の経営悪化が招くもの
しかしその場合でも、それは レオパレス本体が経営を悪化するという前提の話ではありませんでした。
レオパレスがこれまで以上に、賃料の減額を行った場合は、困窮するオーナーの数は、予想されていた以上に多くなるかもしれません。
今まででさえ「時限爆弾」と週刊誌の見出しでは報道され、サブリースの期限が懸念されていたわけですが、それだけでなく、オーナーとオーナーに融資をしていた銀行までも巻き込んで、それまで以上の規模の「爆発」が起こってしまうかもしれないというのが今回の事態です。
レオパレスは「確保済み」というが
当面は、レオパレスは当座の損失見込みとして18年4~12月期に約430億円の特別損失を計上済み、今後1年程度の資金繰りも当座資産と流動負債の割合からして「確保済み」としています。
日経新聞が今後の悪化の要因としてあげて居るものは、今後の調査で施工不良の数がどれだけ増えるかということ、それから、移動時期の4月に入居率が上げられなかったこと、そしてレオパレスイメージの低下によって、賃料水準が下がった場合は、オーナーに支払う金額よりも、レオパレスに入る家賃収入が下回るかもしれない。要するに赤字になるわけですが、それが続いた場合には、一体どうなってしまうのか心配しないオーナーは居ないでしょう。
レオパレスのアパートは全国に全約3万9千棟あるそうです。そのうちのどれだけが施工不良に当たるのか、その結果が待たれます。