「地面師」内田マイク5人他が逮捕されました。
内田マイクは積水ハウスの地面師事件での主犯格とされていた人物ですが、容疑を否認しているといいます。
積水ハウスは西五反田、今回の舞台は杉並区の土地ですが、杉並区の地面師事件とはどんなものだったのでしょうか。
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積水ハウス地面師事件とは
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積水ハウスが土地の取引で55億円をだまし取られた、積水ハウス地面師事件とは、東京の西五反田にある旅館「海喜館」の跡地が舞台でした。
駅から徒歩5分の立地、606坪という好立地で、マンションデベロッパーなど不動産業者にとっては、のどから手が出るほど欲しい土地ながら、所有者が「売らない土地」として有名でした。
ところが、所有者を名乗る女性が現れ、積水ハウスにその代理人が、土地を売りたいと持ちかけたのが事件の発端です。
土地の所有者である旅館の女将になりすましたのが、羽毛田正美という女性の地面師グループの一員、代理人の不動産コンサルタントがカミンスカス操容疑者でした。
積水ハウスは、願ってもない話に取引をハイスピードで終了。55億円が地面師の手に渡ったのです。
内田マイク容疑者が指示
そして、この一連の取引を、指図したのが、内田マイク容疑者と言われています。
カミンスカス操容疑者は、当時網走刑務所に収監されていた内田マイクの脚本通りに動き、この虚偽の取引を成立せしめたのです。
もちろん、地面師にとっての「成立」であり、土地の本当の所有者は別に居ますので、積水ハウスがその土地を「買った」ことになりませんでした。
”地面師のドン”
内田容疑者は、池袋を中心とする地面師グループ数百人を束ねる、いわば”地面師のドン”と呼ばれる人物。
これまで何度も同様の事件を繰り返してきたとみられています。
杉並区の地面師事件
今回の杉並区の事件もその一つ。
捜査2課によると、5人の逮捕容疑は2014年9月、東京都杉並区の土地(約400平方メートル)を所有する50代男性になりすまし、偽造した委任状などを法務局に提出し、大田区の不動産会社に土地を売却したとするうその所有権移転登記をしようとしたというものです。
騙されたのは不動産会社
積水ハウスの時もそうですが、今回も不動産会社であり、相手は素人どころか、不動産のプロ。
いかに地面師たちが役者であるか、そして、偽造書類のレベルが高いかがうかがえます。
地面師に1億8千万円を支払う
不動産会社は、土地の代金として疑いもせず、約1億8千万円を支払いました。
そのあと、通常なら登記が完了するはずですが、偽の所有者、偽の書類では登記ができるはずもありません。
その時点では、お金は既に振り込まれてしまっており、当然偽物の所有者にも、偽の仲介業者にも連絡がつかない。
地面師たちは、振り込まれた1億8千万をそのまま口座に入れておくようなことはしませんので、どこからか調達した口座などに入金後は引き出し。
入金された多額のお金が、最終的にどこに行ったかはわからないようになっています。
積水ハウスの件でも55億円もの多額のお金を、誰がどう受け取ったのかつきとめたという報道は一度もありません。
逮捕された面々は「自分は関わっていない」また、関わっていたとしても「自分も騙されていた。うその取引だとは知らなかった」として、容疑を否認。
万が一起訴されて有罪となっても、殺人などの重罪ではない「有印私文書偽造」というもので、刑務所に収監されてもすぐ出てきてしまって、また新しい土地取引を目指して暗躍するのです。
警視庁は、「この地面師グループが、都内の不動産業者からこの土地の購入代金として、1億8000万円余りをだまし取ったとみて、詐欺の疑いでも捜査している」とありますので、詐欺容疑の立件のために、何とかして証拠を見つけられるよう願うばかりです。