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長崎市青山町の私道トラブル住民が通行地役権 長崎地裁に申し立て

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長崎市青山町で、団地内を通る私道の所有者が道路を封鎖、住民の生活に支障が出ている件、この私道の現在の所有者は不動産業者で、これまでに5回も変わっているということがわかりました。

住民は所有者に通行料金を請求されていますが、最初の所有者との間で通行地役権を設定しているため、通行の妨害を禁止するよう求める仮処分を長崎地裁に申し立てました。

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長崎市青山町の私道トラブルのいきさつ

青山町で、これまで青山地区の団地の住民が50年以上使ってきた団地近くの道路がありました。

この団地から、大きな公道に出る道路は、実質この道路のみ、もう一本は軽自動車しか通れない細い道路であるため、特に車で移動する住民は必ずこの道路を利用していたようです。

利用者の数は、団地の世帯数の数からいうと120世帯。

そこの住民がほぼ全世帯で利用していた道路ということです。

道路の所有者が長崎市に譲渡の申し入れ

この道路のある広いエリアの土地の所有者である不動産業者が所有権を得ると、この道路を費用負担が大きいため、長崎市に譲渡したいという希望を申し出ました。

しかし長崎市は、「側溝に蓋がない」「道路以外の土地も対象に入る」など、市の受け入れる道路としての基準を満たしていないという理由でその申し出を断りました。

市への譲渡を断られた所有者は、住民一人一人に対して、道路を通るための料金、通行料を支払うように求めました。

その後わかった話によると、同時に、道路の土地を3千万円で買うようにとの選択肢と並べて、どちらを取るかを提示してきたようです。

しかし、これまで、50年も無料でその道路を支障なく使用してきた住民は、お金を支払うことにも抵抗があるとして、支払おうとする人はいませんでした。

 

私道の所有者が道路を封鎖する事態に

すると、所有者である所有者である不動産業者は道路の各ポイントに、バリケードを設置。

ロープやチェーンで間をふさぐなどして、車がまったく通れなくするという措置に出ました。

住民の生活に大きな影響が

通行ができなくなったことで、住民の生活に支障が出始めました。

ある人は、軽自動車しか通れない道路を使う他なくなったので、普通車を軽自動車に取り換えたと言います。

その他には、ゴミ収集車や、配達の車が入れないということになり、ゴミ収集は作業員が徒歩やカートなどを使って行うという大変な手間となっています。

さらには、住民がどこかへ出かけようとしても、たとえばデイサービスなど介護関係の外出は、車がないとできないため、自宅の前には車が来られない事態となっています。

救急車や消防車にも支障

そして、今のところはまだ事故は起きてはいませんが、万が一の火事の時にも消防車が、バリケードを撤去するなどして、速やかには入れません。

住民が急病の時の救急車の手配もおぼつかないという、不便を通りこして、危険が懸念される事態となってきました。

当初の報道では、所有者が、費用負担に困ったのかとも思われていましたが、業者の悪質性を指摘する声も出始めました。

というのはこの道路は、まったく私道のまま、人の土地を勝手に通っていたというのではない事情がわかってきたのです。

私道に設定されていた通行地役権

住民側の弁護士によると、この道路の所有者は、これまでに5回変わっているということです。

そして、住民らは、最初に団地を作った業者との間で道路の通行地役権というのを設定しているということもわかりました。

解説

通行地役権とは
地役権設定登記は日本における不動産登記の態様の一つで、当事者の設定行為による、地役権の発生の登記をすることである。 囲繞地通行権と異なり、地役権は原則として登記をしないと第三者に対抗できない。

この「通行地役権」というのは、もちろん、口約束ではなくて、登記をきちんとしてあるということですので、その道路が通れないということは通常はあり得ません。

私道の設定でよく聞くのは、私道の持分というものですが、通行に関してはこれで十分と言えるでしょう。

私道の持ち分については

 

それでは、私道の持分の取得については、その点、所有者と交渉できないのか疑問が湧きますが、それについては、所有者の方は持分という部分的なものではなくて、3000万円での土地の売却も持ちかけたということなのです。

通行料かそれとも土地を買うかどちらかという提示が行われたということなのですね。

どうもそうなると、いずれも土地の所有者にのみ金銭的な利益が入るという話になってきます。

道路の掘削権はどうなる?

そもそも、団地内の道路が私道のまま、というのが困るわけなのです。

なぜそうなっていたのかはよくわかりませんが、「元々購入した時点での開発業者から通行地役権という権利として(通行できる)設定を受けている」ということになっているので、そのまま利用されていたようです。

その場合、たとえば、道路に埋められているガスや水道管などの工事が必要となったときの掘削権、道路を掘り返す権利などは、通行権には含まれません。

今のまま、通行地役権だけを主張して通行に支障が亡くなったとしても、たとえばガス管や水道の補修が必要になったときに、所有者がそれを許可しないというような事態も起こってくるかもしれません。

できれば、そのような問題を解消するために、土地全体や道路全体ではなく、私道の持ち分を買うという設定を考えた方が安心だとは思います。

今回のような状況が起こるところから見ても、通行権はあっても、所有権は土地の所有者にあるため、”私個人の土地”で、好きにしてもいい、という考えが生まれてしまいます。

私道トラブルに自治体は関与しない

家に入る道路が私道であるということ、そのようなところは日本中にたくさんあり、それ自体は問題ではありません。

また、今回のように団地内の道路が私道であるという例は、通常はないことですが、私の実家を含めて結構あるようです。

たいていは、開発した業者の手落ちなわけなのですが、市役所などにに行ったところで、「業者と買った人との間の話」として、市には取り合ってもらえません。というより、市が所有者でない以上、土地の持ち主に対しての強制力はないためです。

そこで、「弁護士を立てて交渉してください」と言われるわけですが、住民にとっては寝耳に水の話になってしまうでしょう。

 

家を買う時は道路についても調べる

家を買う時には、道路が私道であるかどうかは必ず確認しなければなりません。私道の場合は、持分を買うということが、もっとも確実な方法です。

私道の所有者との間で、どのような約束や契約を交わしたとしても、その人が、その土地を他の人に売った場合は向こうになる可能性が高いです。

所有者が変わったとしても変わらないで道路が利用できるようにするのには、自分がその道路の所有者になること、すなわち、権利の一部である、私道の持分を取得することに限られます。

道路の利用者が自分意外にも居る場合には、共同で持分を取得することが望ましいので、人の数が多くなればなるほど、交渉は難しくなります。最初にきちんと持分の設定をしている土地を選ぶのが最も良い方法と思われます。

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