積水ハウスを解任された和田勇会長が、ついに反撃に出るというということが伝えられました。
積水ハウス内の人事の内紛ですが、地面師事件とどう関わるのか、また以前から話に出ている地面師事件の調査報告書のことも話に出ているので、これまでの経緯と共にまとめてみました。
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積水ハウスを解任された和田勇元会長
積水ハウス地面師事件をめぐって、積水ハウス内で人事の内紛があったことはよく知られています。
地面師事件が起こった後、それまで会長を務めていた和田勇氏が失脚、いわゆるクーデターが積水ハウス内に起こったのです。
地面師事件の責任を問われた阿部俊則会長
クーデターが起こった要因は、地面師事件の責任に関わるものでした。
この”クーデター”、解任されたのが和田勇元会長、和田氏を解任したのが、現在の会長で当時の阿部俊則社長です。
積水ハウス地面師事件は、建設大手の積水ハウスが、 呼ばれる土地取引の詐欺グループに、五反田の旅館跡地の売買で55億円もの大金を騙し取られた不名誉な事件です。
地面師事件の調査報告書がネック
この地面師事件の発覚後、 当時の和田勇会長は、 事件の全容解明を目的に、調査報告書の作成を命じました。
その報告書は翌年1月に取締役会に提出、ところが、 その後、報告書の作成を命じた和田勇会長が突然失脚したのです。
いったい何があったのか、それは、4人の社外役員で構成される調査対策委員会が、地面師事件の調査報告書の提出がきっかけとなって起こった出来事でした。
辞めるべきは阿部俊則会長だった?
和田氏は、下のように語っています。
当日の取締役会には、この「調査報告書」が提出されました。そこには、積水ハウスの杜撰な取引の数々が克明に記されていました。
調査対策委員会の皆さんは一様に「阿部社長の退任はやむなし」として、取締役会に先立って行われた「人事・報酬諮問委員会」でも「阿部退任が妥当」との結論が全会一致で決まっていました。
つまり、辞めるように迫られていたのは、当時の和田会長ではなくて、当時の阿部社長の方であったのです。
和田勇氏辞任までの経過
上の和田氏の弁だと、それを読んだ委員は「阿部社長の退任」と方向を決めていたそうです。
そして、和田氏は取締役会に阿部氏の「社長解職動議」を提出。
しかし、和田氏が言うに、阿部氏が委員に対して裏工作、「社長解職動議」が5対5の同票で否決されたというのです。
そして逆に阿部氏の方が、和田氏に「会長解職動議」を提出、勝ち目がないとみた和田氏はやむなく自ら辞任することになったというのが結末です。
和田氏が語る「地面師事件の真相」
なぜ、阿部氏は和田会長を辞任させたのか。
その理由を和田氏は次のように語ります。
阿部君らは記者会見で私の退任について「円滑な世代交代だ」と嘘を言いました。「クーデター」劇を隠そうとしたことは見え見えですが、地面師事件の真相を隠したかったというのが一番の理由でしょう。
--https://gendai.ismedia.jp/
調査報告書の裁判所命令も拒否
一方、これまでずっと隠されていた報告書の内容は、各紙の取材により、次第に明らかになってきました。
その責任の所在が記された報告書は、一部株主から訴えを起こされた地面師事件の責任を問う裁判でも、裁判所から提出を求められていました。
しかし、裁判所の提出命令に際しても、部分的にしか提示がされず、現在も公表されることなく中身が謎のままとなっているものです。
積水ハウスの”調査報告書”の中身とは
この報告書について、これまでで最も核心に触れる記事に表したのが、東洋経済誌です。
これに関しては既に当ブログの前の記事 積水ハウスの報告書の内容 地面師事件その後 で紹介していますが、要約すると、積水ハウスは地面師たちに単純に”騙された”のではないということです。
これまでは土地取引に社長決裁を下した阿部俊則会長と、なりすましの地主と地面師らと直接交渉と契約にあたったA次長と言われる人物他が、確認がずさんで注意が足りなかったので、その結果地面師に騙されたということになってきていましたし、この事件を耳にした世間の印象もそれと変わりません。
積水ハウスは地面師に”騙された”のか
しかし、東洋経済誌の記者は、積水ハウスが地面師事件の被害に遭ったのは、単なる過失ではないと伝えています。
そもそも、その報告書を作成した積水ハウス内の調査委員会は、「積水ハウスの内部の人が、意図的に契約を成立させたという疑いがある」と述べており、さらに、特定人物の名前を挙げて、
「(地面師の仲間と言われていた生田剛の会社)IKUTAの経営者とA次長との間には、何か個人的で不適切な関係が存在していたのではないかとの疑義が出た」
としています。
関連記事:
積水ハウスの報告書の内容 地面師事件その後
返却されない10億円もの仲介料
その理由は、生田剛氏が仲介として10億円を受け取っていながら、実質的に取引が成立しなかったにもかかわらず、それを返却していないままになっているからです。
これではまるで、騙される詐欺話を持ってきた相手に謝礼を払ったままになっているということですが、そんなことがあり得るでしょうか。
あるとしたら、生田氏はしかるべき謝礼として、それを受け取ったというしか考えられません。
いったいどういうことなのか。
地面師事件の真相の鍵
和田勇氏の反撃に関しては、コメント欄には「老害は去れ」という書き込みが目立ちます。
和田氏に関しては社外の人は特に何とも思わないでしょうが、この地面師事件の真相は別です。
今のままの社長や会長であれば、地面師事件は覆らないでしょう。
地面師たちは、この後公判になると思われますが、口を割るとも思えません。
和田勇氏の復任やその人事の是非はともかく、何らかの手立てで地面師事件の真相を明らかにしていただきたい。
せっかく作成された報告書がなぜ埋もれたままになってしまっているのか。
隠されていることで逆に疑惑が深まるばかりです。
和田勇氏が報告書の核心部分を自ら語る
積水ハウス会長辞任後の内紛と地面師事件とのつながり 報告書が鍵