積水ハウス事件

海喜館の土地で地面師に積水ハウスが騙された理由 詐欺見抜けず

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海喜館という五反田の旧旅館があった跡地を地面師と呼ばれる詐欺グループが、所有者になりすまして積水ハウスに土地を売却するとみせ、55憶円をだまし取った事件が世間をにぎわせました。

地面師グループは積水ハウスの前にも、他の不動産会社2社にも、海喜館の売却を持ちかけて、偽造を見抜かれて断られていたと言います。

大手の積水ハウスだけが、なぜこのような詐欺に引っかかってしまったのでしょうか。

また、五反田の海喜館の土地というのは、どのようなところだったのかを解説します。

海喜館をめぐる地面師の詐欺事件

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ビルに囲まれた海喜館

「地面師」というのは、登記制度を利用して、土地や建物の持ち主が知らないうちに本人になりすまして不動産を勝手に転売して代金をだまし取ったり、担保に入れて金を借りたりする、土地に関連する詐欺をする人のことです。

詐欺の中では得られる額が高額であり、登記の書類上のテクニックを用いるため、詐欺師仲間においては「高級な詐欺」とも言われているようです。

海喜館の土地がターゲット

https://www.google.com/maps

地面師たちが、虚偽の土地取引に使った、その物件というのが、海喜館です。

海喜館の場所は下の通りです。

海喜館の場所

東京都品川区五反田の旅館「海喜館」跡地(約2000平方メートル)、約606坪。坪単価は1000万円以上だそうです。

周辺はオフィス街、繁華街で、写真を見ると、ビルの真ん中に取り残されたような形で、元旅館の建物が残っていますが、旅館は既に廃業し、空き家の状態で建物は相当古びています。

マンションを建設すれば即完売は間違いないとされる場所でしたが、これまで売りに出ない土地として、同業者の間では既に知られた場所でした。

 

海喜館の旅館の土地取引に不審

積水ハウスの前にも今回逮捕された容疑者たちは、積水ハウス以外にも複数の会社に旅館跡地の購入を持ちかけていたといいます。

把握されているのは、2社ですが、そのどちらもが不審を感じたといいます。

海喜館の土地の所有者確認も

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そのうちの一社の担当者が、念のため出張所で真偽を確かめると、「100%偽造だとは言えないが、気を付けた方がいい」などと助言を受けたとのこと。

不審に思った男性は土地の取得を断念し、ブローカーに偽造だと指摘しましたが、詐欺グループの一員であったブローカーからは、「失礼なやつだ。積水ハウスが待っているから結構だ」と言われ、それきり連絡が途絶えたといいます。

海喜館の女将のパスポートの写真

また別な業者は、該当の旅館空き家の周辺の住民に、所有者になりました羽毛田容疑者のパスポートの写真を持っていって見せたところ、見せた近隣住民の5人すべてが「違う」と言ったため、詐欺だと認定。

あっけない判明ですが、それだけの手間で確認が取れたのに、今となっては残念な話です。

海喜館の偽の所有者

さらに、他の担当者は、所有者になりすました羽毛田容疑者に、雑談で「ゴールデンウィークはどこへ行かれますか」と言ったのに対し、「田舎」と答えたことに不審を感じたと言います。

というのは、該当の土地の所有者は、代々五反田のその場所に住んでおり、「田舎」はあり得ないということを直感で感じたようです。

また、羽毛田容疑者は、本人であれば間違えるはずのない干支を間違えたり、誕生日も答えられなかったという話もあり、なりすまし役としてはお粗末なところも見られました。

カミンスカス容疑者が契約に同席

一方、羽毛田容疑者の隣にいるカミンスカス容疑者については、いっさいボロを出さないような「早口で質問をさせない」といった、プロの話しぶりでもあったようです。

いずれにしても、書類が偽造と判明、または写真確認で詐欺と分かって断った業者たちは、その数日後、積水ハウスがその土地を買ったという話を耳にすることになりました。

積水ハウスに海喜館の土地所有者が連絡

その上、積水ハウスには、本当の土地の所有者が、仮登記後に出張所からの連絡を受けて、驚いて「売買契約をしていないのに仮登記された」との内容証明便を送ってきました。

その他にも、この所有者は、再三自分がその土地の持ち主であり、羽毛田容疑者は所有者でないと伝えたのですが、積水ハウス側は「取引を妨害したいがための嫌がらせ」と相手にしなかったといいます。

五反田は「喉から手が出る」土地

そもそも、その品川区五反田の「海喜館」旅館跡地というのは、JR五反田駅から徒歩3分の立地にあり、これまでも業者が「のどから手が出るほど欲しい」とされている土地でした。

該当の土地は、同業者が何としても手に入れたい土地の一つであったらしく、そのため、同業者の嫌がらせや妨害があっても当然と担当者は考えており、それが、せっかくの所有者の連絡を無駄にしてしまったのです。

積水ハウスは「社長案件」に盲目に

また、「社長が早い段階で物件を視察して購入を決め『社長案件』になったからだ」と社員の指摘もあります。

社長は物件の視察を行っており、社長自身が判子を押した書類が先に回ってしまったため、そのあとの手続き中も、誰も異議を差しはさまなかったようです。

おもしろいことに、これが上が決めたことに口を挟めないような大手でなく、社長が隣の部屋にいるような小規模の不動産会社などでしたら、地面師がつけいる隙はなかったのかもしれません。

盲目的に言われた仕事を黙々と進めた結果が、騙されるという事態を招いてしまったようです。社員が忠実過ぎることが裏目に出てしまいました。

海喜館の土地は結局どうなった?

そして、このどの会社もが「のどから手が出るほど欲しい」海喜館の土地はどうなったかというと、積水ハウスと世間が地面師事件に大騒ぎをしている間に、所有者はある会社と売買契約を締結しました。

その会社は旭化成レジデンス。

あるいは積水ハウスが取得していたかもしれない土地だったのですが、他の会社に出し抜かれてしまうという結果になってしまいました。

積水ハウスが地面師に騙された疑問

積水ハウスが、あまりにも間抜けすぎるという意見もたくさん見られるのですが、積水ハウス側にはもちろん顧問弁護士もついており、逆にそれだけ詐欺グループが巧みであり、偽造書類も精巧であったと指摘する人もいます。

詐欺グループもいくつかの会社に打診をする中で、へまをしないように言動に気を付けるなど、それだけ手慣れて行ったということなのかもしれません。

結局積水ハウス側では、会長と社長がどちらが止めるかの責任を問い合ったあとで、会長が辞任するという結果になっています。

そしてその後は、実は積水ハウスの経営陣も彼らが地面師であることを知っていたのではないかという疑いも浮上しています。

謎が謎を呼んだ地面師事件、土地売買の契約は他社との間で成立しましたが、実はこの事件は終わってはおらず、関係者の間に深い疑惑を残したままとなっているのです。

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