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地面師とは?「登記の詐欺師グループ」 の手口をわかりやすく解説

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地面師と呼ばれるグループの詐欺により、積水ハウスが55憶をだまし取られたというニュースが世間をにぎわせています。

「地面師」とは何をする人でしょうか。そして、どうやって多額のお金をだましとることができたのでしょうか。

地面師とその詐欺の手口、事件についてわかりやすく解説します。

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地面師とは土地取引の詐欺師

「地面師」というのは、土地の登記制度を利用して、土地の高額の売却代金をだまし取る詐欺をはたらく人のことを言います。「師」とついていても、普通の仕事をする人のことではなく、犯罪の詐欺師のことです。

日本には200近くの地面師のグループがいるとされており、今回逮捕されたカミンカス操容疑者や羽毛田正美容疑者は、地面師とそのグループの一員といえます。

地面師に土地の所有者はなぜわかる?

そもそも、土地の情報というのは、法務局というところにある登記簿という記録で管理されています。登記簿謄本に名前が記されていれば、その人が土地の所有者だということが証明できます。

名前が記されている人が土地の持ち主、すなわち地主としてその土地を売ったり貸したりすることができます。

登記簿に記されている人は間違いなく持ち主であり、その人が土地を売るのなら、買う方は安心ができます。そのため、地面師は自分が地主であるように装い、その土地を売ってその売却代金を得ようとするのです。

地面師らは電子化前の偽造詐欺

登記簿は今では電子化されていますが、以前は手書きで書いたものが使われていました。

そして、その頃は法務局の書類を偽造する人が『地面師』と呼ばれていました。

不動産登記簿が現在のようにコンピューター化されたのは、2005年以降で、それ以前の登記簿は紙に記されたもので、法務局に行けば誰でもが閲覧することができました。

そこで、登記簿を閲覧するときに、その紙を偽造したものにすり替えるというのが当時の地面師の方法でした。

役所は土日が休みですので、金曜日に法務局に行って書類を見るふりをしながら、書類を持ち帰り、所有者の名前を変えて、登記官の判子も偽造し、本物そっくりに作り替えたものを、月曜日に又法務局に行って入れ替えるのです。

そして、入れ替えた名義で地主を装い、その土地を売って売却代金を自分のものにするのがそれまでの地面師の手口でした。

しかし、現在は登記簿は紙ではなく、書かれたものが見たい時には登記簿謄本を申請して取得しなければならなくなり、原版に触れることも、所有者の名前を勝手に他の人にすることもできません。

そこで、最近の地面師の手口は変わり、積水ハウスの事件においては、以下のような方法が取られました。地面師の手口と事件の一連の流れをわかりやすく解説します。

 

積水ハウス地面師事件の手口

 

地面師の手口とは、まず高く売れそうな土地を探すことから始まります。その後は下のような流れになります。

1.土地を探す
2.その土地の所有者になりすまし、そのための偽造の書類を作る
3.土地を売る虚偽の契約をする
4..土地のお金を受け取る

流れに沿って、ひとつずつ解説します。

地面師は高く売れる土地を探す

最低でも1億以上の土地が狙われるそうです。今回、地面師が詐欺に用いた土地は、品川区の西五反田、駅から徒歩3分、坪単価1000万円以上という地価の高いところで、面積も2000㎡と大きく、値段は70億円で売買されました。

空き地や空き家、持ち主が居ない土地など

人が住んでいていは所有者が違うことがわかってしまいますので、空き家や空き地、所有者不明の土地などが好都合です。地面師たちは調査をしてそのような選びます。

その、西五反田の土地は、旅館「海喜館」の跡地で、旅館は既に営業をしておらず空き家になっていました。また、所有者の女性は入院をしており、それをまたとないチャンスとして地面師が動き始めたのです。

地面師の一人が土地の所有者になりすます

地面師は、次に替え玉となる人を選びます。今回のその旅館の所有者は、60代~70代の女性だったので、それと同じ年齢の女性が所有者として適当でした。

そうして選ばれたのが羽毛田正美容疑者で、羽毛田は所有者の女性に成りすまして、偽の名前を名乗って、土地を買いたいとする積水ハウスの担当者に会ったりしました。

偽造パスポートを作る地面師グループ

 

また、自分がその土地の持ち主であることを証明するために、偽の名前と、自分の写真の入ったパスポートを作りました。

この偽造パスポートは、精巧な偽物が中国で売られており、他の地面師がそれを準備し、写真を撮ったり貼ったりして、偽のパスポートを作りました。パスポートの偽造も地面師の仕事の一つで、グループの一員が行います。

そして、不動産屋を装ったカミンスカス操容疑者と、土地の所有者女性の内縁の夫という人、その人たちももちろん偽物ですが、それから本物の弁護士と、その人たちをを車に乗せる運転手役の人と、皆で積水ハウスの担当者と面談したわけです。

転売の仲介に休眠中の会社を使用

また、土地を売る際には「転売」といって、間に会社が入る手法が取られ、羽毛田容疑者がいったん生田容疑者の経営する会社に土地を売ることになっていました。

そしてさらに、生田容疑者はその土地の売買を扱う会社を、「節税のため」という理由で、近藤容疑者の経営する別な会社に移しました。積水ハウスはこの会社と土地の売買の契約をしましたが、その会社は営業をしていない休眠中の会社でした。

そうしておけば、詐欺だと判明した時にも会社が影響を受けることは少なくなるため、あらかじめの措置でした。そして、生田容疑者も近藤容疑者も、皆地面師グループのメンバーだったのです。

積水ハウスの社員と面識があった地面師

積水ハウス地面師事件で名前の挙がった生田剛容疑者は、数年前から積水ハウスの社員の一人と面識や交流があり、不動産の情報を教え合ったりしていました。

そして、生田容疑者が、積水ハウスをだまして土地を売ろうと、その知り合いであった社員に、土地の話をしたのです。

そのため、積水ハウス側は、社員の知り合いだから心配ないだろうと考えて、今回の土地を買うことにしたのですが、もちろん、それも地面師たちが考えたプランの一つでした。

地面師たちは、最初は積水ハウスではなくて別な会社のあちこちに土地を売ろうと声をかけていました。

しかし、どこの会社もその土地取引が詐欺であることを見破りましたので、なんとか売買契約をさせようと、そのような積水ハウスの社員に知り合いのいる生田容疑者を仲間に入れようと計画をしたのでした。

土地の代金55億を受け取る

そして、積水ハウスは、条件の良い土地を安く帰ることに喜んで、契約を進めて土地のお金を払い込みしました。最終的に積水ハウスが支払ったのは55億5千万円です。それはまた別な地面師2人が専任で用意をした口座に振り込まれました。

しかし、その後で積水ハウスが調査のために、その旅館の空き家に入ったときに、ブザーが鳴って警察が来てしまいました。

そこに本物の持ち主が来たために、自分たちが会ったのは偽物の所有者だったことにやっと気がつきましたが、それはお金を払ってしまった後でした。

本物の所有者からの連絡

実は本物の所有者は、それより以前に、「自分が本物の所有者であること」「自分は土地は売っていないこと」を、積水ハウスに内容証明便という記録を残す手紙や、電話、また会社に行って、そのことを伝えていました。

しかし、その土地は、同業者に人気の高い土地で、誰もが欲しがっていたために、積水ハウスの担当者は、それが嫌がらせや妨害である「怪文書」だと考えて、それを本当にしなかったのです。

 

地面師はグループで役割分担

地面師たちがグループで細かい役割分担をして動いており、そうでなければ取引が成り立ちません。

これまでで9人が逮捕されましたが、今回の西五反田の土地の詐欺を考えた人は、同じように数年前にアパホテルに虚偽の土地売買を売った罪で現在刑務所に服役中の地面師の男だと言われています。

また、カミンカス操容疑者は現在フィリピンに出国しており、国際手配がされています。

積水ハウスの55憶のうち30億円が不明に

そして、積水ハウスが支払ってしまった55億円のお金のうち、カミンカス容疑者が7憶を持っていると言われていますが、30億円以上がどこへ行ったのかがわからないままになっています。

カミンカス容疑者と他のメンバーが逮捕され、取り調べされれば、あるいは、お金の行方がわかる情報が得られるかもしれませんが、このままわからないままになってしまうのでは、と予想をする人もいます。

地面師たちの詐欺の刑罰というのは、軽いもので1年くらいで刑務所から出てこられる刑が多いため、そのあいだお金をどこかに隠し持っていて、刑務所から出てきてからそれを受け取ろうとしているとも考えられています。

詐欺で得られる金額が高額であり、しかしその罪は軽い。そのために地面師の詐欺はなくならないのです。

土地バブルの時期には地面師に警戒を

このような不動産をめぐる詐欺に地面師が暗躍するというのは、地価が上がっている時だと言われています。

不動産のトラブルというのは被害額が大きいものが多く、一度巻き込まれると心労のもっとも大きいものです。

空き地や空き家を所有する人は管理に気をつけて、詐欺の取引に利用されることがないように、警戒を怠りなくしましょう。

また、もうけ話を持ち掛けられた時にも慎重に、専門家などに相談をするなどして被害を防ぐように心がけましょう

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