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スルガ銀行 岡野会長流用は69億円 関連企業への融資488億回収へ

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金融庁は5日、シェアハウス融資で多数の不正があった地方銀行のスルガ銀行(静岡県沼津市)に対し、6カ月間の一部業務停止命令と業務改善命令を出しました。
その報道に伴う朝日新聞の記事より、スルガ銀行が公表した不正の内容を下記に記します。

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スルガ銀行が公表した不正

スルガ銀行が公表する不正の内容は以下の通りです。

資料改ざん件数は1千件超

スルガ銀行によると、資料改ざんを行員が黙認したり関与したりしたのは1千件超にのぼる。

不動産融資と同時にカードローン契約などを強いる「抱き合わせ」も横行し、法令違反のケースは534件あった。

不動産投資向け融資での不正(行員が関与・黙認した分)

 ・物件のレントロール(家賃収入表)の改ざん=131件

 ・顧客の自己資金の改ざん=1101件

 ・顧客の収入の改ざん=89件

 ・二重契約など=225件

抱き合わせ販売の法令違反は534件

抱き合わせ販売とは、融資の契約と同時に、フリーローンの契約を条件として行ったことで、その法令違反が534件であるそうです。

フリーローンの契約を条件としたことで、投資者は多額の高利の不要な借金を負わされることになりました。

投資者にとっては必要のないものでもあり、金利が高いため、一括返済しようとしたところ、行員に返済を断られた例があったということです。

創業家ファミリー企業への融資488億円

融資の一部は、岡野一族の関連会社、いわゆるファミリー企業に流れて回収不能となったとされていました。

また銀行がファミリー企業に「寄付」の名目で、それを融資の返済に充てたケースもあったということで、その関連企業への融資の総額は488億円とされています。

岡野会長への融資は69億円

上記のファミリー企業の488億円からは、さらに岡野光喜会長への「融資」が行われており、ファミリー企業から創業家個人への融資総額は69億円だということです。

これらの融資は、回収不能になったものを除き、全額を回収するということです。

反社会的勢力との取引

 他に問題になる取引として、「反社会的勢力の顧客の新規口座開設数が46件」 「反社会的勢力へのカードローン残高の増加件数=22件」が公表されています。

「地銀の優等生」金融庁の責任は?

金融庁は1年前まではスルガ銀を「地銀の優等生」と評価。

当時の森信親(のぶちか)長官は講演で「特異なビジネスモデルで、ニッチな分野に特化して高い収益率を上げている」と称賛していました。

だがスルガ銀の融資は、犯罪にも問われかねない不正によって成り立っていたにもかかわらず、金融庁は2012年と13年、17年に立ち入り検査をしていたが、そうした不正を把握できていなかったことになります。

しかし不正を見抜けなかった責任は重く、金融行政の見直しも迫られかねないとも言われています。

 

元森信親長官はコロンビア大へ

スルガ銀行に「地銀の優等生」という名を与えた、元森信親(のぶちか)長官は今年7月に、金融庁長官を退任。

このあとは、コロンビア大学国際公共政策大学院で、今秋から非常勤として教えるほか、上席研究員の立場で中央銀行や金融政策に関する研究に携わることになっているということです。

スルガ銀行が今後するべきこと

スルガ銀行が再建に向けてするべきことは次のようなこととされています。

1.経営陣や不正に関与した役職員の責任の明確化

金融庁からは、創業家の経営支配が不正の背景にあったと指摘された。先月創業家出身の岡野光喜前会長兼CEO(最高経営責任者)は引責辞任し、関係会社などが保有する株式を売却する意向も示しているというが、影響力を本当に排除できるかが焦点だ。

先月公表の第三者委員会の報告書は「全員が共犯なら許されるわけではない」として処罰の必要性を指摘していた。有国社長は5日の会見で、不正の全容は現在調査中で、「処分はこれから」と述べた。

2.シェアハウス融資で不正に巻き込まれたオーナーらへの対応

シェアハウス投資は不動産業者のずさんな計画で事業が破綻(はたん)し、オーナーの会社員らはスルガ銀から億単位の借金を負っている。被害弁護団は不正に加担したスルガ銀の責任を追及。物件を引き渡す代わりに借金を棒引きにすることを求めるが、スルガ銀はこれを拒否しており、交渉が長期化する可能性がある。

 被害弁護団はスルガ銀の融資担当者と業者の従業員の私文書変造容疑などで、警視庁に告発状を提出。捜査関係者によると同庁は5日までに告発状を受理はしていないが、引き続き弁護団から相談を受けている。

3.今後どうやって収益を上げるか

スルガ銀の融資残高3・2兆円のうち、不動産投資向けは約3分の2の1・9兆円。この融資が不正にまみれ、焦げ付きも懸念されている。17年3月期まで最高益を続けてきたが、18年3月期は事後に多額の貸し倒れ引当金を計上。純利益は前年同期の8割減となった。

スルガ銀は融資残高の約9割が個人向けで、不動産ローンやカードローンの残高拡大で高収益を実現してきた。しかし信頼は地に落ち、顧客離れの懸念が強まる。もともと地元・静岡では最大手の静岡銀行に後れをとり、不動産融資で首都圏などに打って出たが、そうした戦略も抜本的な見直しを迫られる。

他行との提携の可能性

他行の傘下に入る提携等の可能性については、有国社長は会見で「企業価値が向上する取り組みがあれば前向きに検討したい」と述べましたが、「現時点で具体的に資本提携の話はない」とのことです。

■元東京地検検事・落合洋司氏コメント要旨

今回の不正は、デタラメぶりがすごすぎて、コンプライアンス(法令や社会規範の順守)を論じる以前のレベルだ。銀行の体さえなしていないのではないか。
第三者委員会や金融庁に認定された不正行為だけでも、多くの行員が私文書偽造や詐欺、背任などの罪で刑事責任を問われる可能性がある。これから信用を回復していくには、まずは銀行が率先して責任追及する姿勢を示し、刑事告訴や告発にも踏みだすべきだ。

スルガ銀行が再建を望むなら、自ら捜査への協力が必要だとの意見です。

再建の焦点は株の売り先

いずれにしても、スルガ銀行は、解体的出直しを迫られており、単独での再建は厳しいとされています。

業務提携については、創業家が手放す意向を示している15%超の株式の売り先が焦点だということで、今後の行方が注目されます。

 

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