世間を騒がせている積水ハウス地面師事件、カミンスカス操ら地面師と呼ばれる詐欺グループが所有者になりすまして、積水ハウスに土地を転売、55憶円をだまし取った巨額の詐欺事件ですが、いまだに30億円がどこへいったのかが不明のままになっています。
ところがここへきて、地面師グループに、口座を貸したという、会社経営者の男性が判明しました。自らの容疑を否定するため取材に応じたといいます。はたして、そこから行方のわからない30億円の糸口が見つかるでしょうか。
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地面師に口座を貸した会社社長
地面師グループの一員と接触があり、口座を貸したと名乗り出たのは、会社経営者のA氏(70)です。
自身が経営する複数の会社の口座を貸していたことを認め、自身の通帳も取材時に提示したといいます。
地面師の詐欺の犯行には一切関わっていないと主張、「潔白を証明したい」ということが、今回スクープのFRIDAY誌の取材に応じた動機だそうです。
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地面師の「貸してほしい」に応諾
犯行グループの一人である佐々木利勝容疑者(10月20日逮捕)に、『大きな商談がまとまりそうだが、審査に時間がかかって口座を開設できない。一時的に口座を貸してほしい』と言われて、口座を貸すことになったと語っています。
不動産会社を経営していると自称する佐々木容疑者とは、以前から親しく親しく付き合っていたといいます。
積水ハウスの契約後から数億単位の入金
そのA氏の貸した口座の通帳には、積水ハウスが、西五反田の土地を売買契約した4月24日から、巨額のお金が振り込まれることになりました。
1回の振込額は、「3億3000万円」「2億3000万円」といった数字で、毎回、数千万~数億円という単位、合計で30億円以上が入ってきたことが、通帳に印字されていうのです。
地面師へ現金を手渡し
そのお金の引き渡し方法はというと、A氏は振り込みがあるとすぐに、佐々木容疑者に連絡。A氏が引き出し、それを同行した佐々木容疑者に手渡すというやり方でした。
A氏は振り込みがあるとすぐに、佐々木容疑者に連絡。佐々木容疑者が同行の上、A氏が貸した口座から現金を引き出し、近くの駐車場などで、引き出したお金を手渡しにしたようです。
A氏の取り分はというと、4月末に5万~10万円ほどを受け取り、6月に数十万円をもらっただけだといいます。
警察の捜査が入る
昨年の6月6日に、4月からあった入金がストップ。その際、『警視庁からの要請で、口座を差し止めます』と銀行から連絡があり、その時点ではまだ逮捕に至らなかった佐々木容疑者はA氏に頭を下げて詫びたということです。
そして1年後の今年8月に警察の捜査になったわけですが、A氏は「頼まれただけなので事情はわからない」と主張。
任意での事情聴取ということで、その後計3回、取り調べがあったようですが、A氏はそこで、「やっと私が利用されたのだと気づいた」といいます。
他にも預金口座を準備した容疑では、三木勝博容疑者、北田文明容疑者が既に逮捕されていますが、A氏の口座も間違いなく、積水ハウスの支払った土地購入の代金が、別口座経由で入金されていたようです。
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地面師の行う「一種のマネーロンダリング」
地面師事件に詳しいジャーナリストの伊藤博敏氏は、A氏の口座は、お金の流れを追いにくくする、「一種のマネーロンダリング」のためであり、知らなかったと言っているA氏への疑いも払しょくしていません。
地面師事件に関与した人は、ほとんどすべてが「詐欺とは知らなかった」「私も騙された」と主張をすることに決まっているので、どの人が同様に潔白を主張しても、うのみにするわけにはいきません。
ただし、自供がなく証拠がなければ、逮捕はできません。それが地面師事件の立件の難しさであり、同様の事件が後を絶たない理由もそこにあるのです。
30億円と逃亡者の行方は
A氏の口座に振り込まれた30億円は、結局誰の手に渡ったのか。そして、まだ逮捕されるに至らない、主犯格、フィリピンに出国したカミンスカス操容疑者と、土井淑雄(としお)容疑者は今どこに居るのか。さらには、警察に内通者の刑事がいて、彼らに捜査情報を事前に伝えたというのは本当なのか。
それらの疑いを晴らすには、今後の捜査と地面師事件全容の解明をを待つほかはないでしょう。