賃貸大手レオパレスのアパートの問題は、 アパートのオーナーに大きな衝撃をもたらしました。しかし以前から言われている通り、界壁問題以上に大きな問題がサブリースの問題です。
サブリース契約の問題点について再度解説します。
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相続税の改正からアパート投資ブームに
それまで投資など考えたこともない地方の地主さんたちが、アパート経営に踏み出すきっかけとなったものは、2015年の相続税の改正です。
今までなら負担のなかった人に対しても、相続税対策が深刻になり、節税対策としての一つの方法として、浮かび上がってきたのがアパート経営でした。
アパートオーナーへの「朗報」に見えたサブリース契約
そして、それに伴うアパート経営の新しいシステムが、問題となる「サブリース契約」というものでした。
アパートを建築するよう土地の所有者を完了した建設業者が、その建設したアパートを借り上げ、入居者が減った場合でも家賃分の収入を大家さんに保証するシステムが、サブリースというものです。
アパート経営の空き室リスクがない
アパートオーナーさんというのは、部屋が何室もあって収入は大きいようですが、ほとんどの大家さんは、下に説明するように、アパートの建設資金を銀行ローンで借りていることが多く、収入の大半はその支払いに充てられています。
すると、一室でも空き室が出たということになると、その分の手取り収入の部分が大きく減ってしまいます。なので、数室の空き家で、すぐにその月の収入が少なくなったり、ともすると赤字になってしまうのです。
なので、それまでのアパート経営のリスク、入居者が減って空き室が出た際にも、収入が変わらないとする「一括借り上げシステム」は、アパート経営者には大きな魅力であったのです。
サブリースの期間は30年間だが
その際の借り上げの期間は多く30年間、その間、月々ずっと同じ金額が支払われるということになっていました。
そう聞く限りでは、むしろ投資というよりも、手堅いアパート経営の仕組みのように聞こえます。
家賃保証は実際は10年間
しかし、確かに借り上げ期間は30年ということになっていますが、保証される家賃の固定期間はアパートの建設から10年間だということが、サブリース契約を扱う不動産会社の増加と共に次第にわかってきました。
問題があった契約の契約書には、10年間を過ぎるとその後1年ないし2年毎に状況を見て、家賃の支払いを改定するという契約内容になっているといいます。
これが、契約書内では小さな文字で記されていたり、口頭での説明はなかったということで、オーナーは契約時に全く意識していないのです。
オーナーさんは、リスクが全くない、正確に言うと、リスクがないと誤解をしている、あるいは故意にそう思うようにされているために、その時は、安心してアパート経営を契約してしまうのです。
10年を過ぎると家賃支払いが減額
安心してアパートを建設会社に貸していたオーナーですが、10年以上経ったところで、これまで50万円なら50万円と決まっていた家賃の支払いが、突然減ってしまうということが起きます。ある日そのように、運営会社から突然の通達が来るわけです。
アパートオーナーの多くは、 30年間同じ金額を受け取れると思っていたから契約したわけですが、そうではないことをそこで初めて知ることになります。
そして、先に述べたように、アパートのオーナーの多くは、アパートの建設資金のほとんどを、銀行から融資を受けて、月々支払うローンとして、家賃収入から支払うという計画を立てています。
なので、オーナーにとっては、単に収入が減ったとか、儲からなくなったとかいう以上の深刻な資金難に陥ってしまうのです。
家賃収入で返すはずのローンが支払えない
家賃の収入がないと、オーナーは手持ちのお金からローンの支払いをするしかなく、ローンの金額は大体が数十万円というもので、住宅ローンに比べるとかなり高額です。
なので、家賃の減額がなされると、ローンの返済にすぐに行き詰ってしまいます。
問題は、予期しなかった家賃の減額がなされるという以外にも、ローンの返済を、すべて家賃収入から支払うという、最初の計画にあります。入居者の増減は、賃貸物件には必ずあるはずです。
それなのに、返済が滞ってはいけないローンの支払いを、家賃収入だけに頼るということも危ういことです。もちろん、そのような、プランを提示するのも、また、アパートの建設業者なのです。
アパートの建設業者のもっとも大きな収入は月々の管理費などよりも、最初の億単位の建設費用にあるからです。
アパートを売却するケースも
建設業者は、一定期間を過ぎると家賃の減額を申し出ます。その際、オーナーの方が賃料の改定に応じないと、入居者を同じ会社の別のアパートに引越しさせてしまうという方法を取るところもあるといいます。
無収入になったアパートのオーナーは、家賃が減額されてしまうと、せっかく相続税対策で守った土地を、アパートごと売却売却せざるを得ない状況に追い込まれることも少なくありません。
売却で全額が返済に当てられればいいのですが、それでもローンの金額の方が高額であると、残債が残ってしまう「オーバーローン」となって、アパートを売っても、ローンだけを支払うようになるケースもあります。
その時は、できるだけ高額でアパートを売って、残債を少なくするように考える必要があります。
レオパレスなど建設業者に法律的な責任は?
気の毒なのはこの場合のアパートのオーナーさんが、投資をしたい目的でアパート経営を始めたというのとは異なるという点です。
全くの素人で、そして多くは高齢者である素人にアパート経営を勧誘した建設業者には責任はないのか問いたいところですが、そのような契約であるということで、法律的には問題がないということになってしまっているのが現状です。
融資をした銀行の責任は?
そしてこのようなオーナーに、建設資金を貸し付けた金融機関、すなわち銀行ですが、その場合の責任は全くないと言えるのか。
自己資金の少ないオーナーに対して、家家賃収入のみでローンを返済するという計画の実現性を考えてみた場合、審査を行う金融機関がそれを判断する立場でないのかは疑問が残るところです。
しかし、最終的には、金融機関に関しても、アパート経営をしないかと勧誘した建設業者と、その説明を聞いて融資を依頼してきたオーナーに対し、銀行は融資を行っただけ、ということになりそうです。
金融庁が銀行の調査へ
金融機関に関しては、今のところアパート経営のサブリース契約における銀行に関しては話題に上ってきてはおりませんが、 金融庁は、金融機関の調査も始めています。
下は毎日新聞の、2月16日の記事
レオパレスの融資実態、一斉調査へ 金融庁、施工不良問題巡り
賃貸アパート大手「レオパレス21」(東京都中野区)の物件で施工不良が見つかった問題で、金融庁は物件所有者(オーナー)向けの融資が焦げ付く可能性がどの程度あるのかを把握するため、各金融機関を一斉調査する方針を固めた。
レオパレスは補修工事費用や募集保留期間中の空室賃料を補償するとしているが、募集を再開しても、信用失墜で入居者が集まらず、返済が滞りかねないと判断。国土交通省と連携し、施工不良物件の範囲が固まり次第、着手する。融資の審査が適切だったかどうかも調べる。
シェアハウス投資における銀行の責任との違い
シェアハウス投資におけるスルガ銀行の場合は、融資の書類等に不正があったこと、審査に関しても、行員が部屋にカーテンをかけて、入居者が居るように見せかけるなどの行為があったことも判明しており、業者だけでなく銀行自体が責任を問われることにもなりました。
しかし、サブリースのアパートオーナーの場合は、それと同じような状況にならない限り、銀行の責任を問うことも難しそうです。
スルガ銀行の扱ったシェアハウスに関しては、自己資金ゼロという例が多く、土地も建物も全額に近い形でローンを組んだので、金額が多額であるゆえに問題視されましたが、レオパレスオーナーの場合は、土地は所有していたところにアパートを建てたというケースが多いです。
また、別な観点から言うと、同じ銀行から融資を受けて、現時点で問題なく続いているアパートもあるので、個々のアパート経営の成否は、銀行の関知するところではないと言われても仕方がないところです。
ただ、以下の記事に書いたように、個人の不動産投資が過剰に行われている地方銀行のあり方については、議論が行われているのも確かです。
レオパレスオーナーに対する「救済」は
建設業者の勧誘でサブリース契約をした、その後のオーナーに対するフォローはというと、レオパレスの施工不良に関しては、被害者の会」が、記者会見で要望を述べました。
それに対して、先日国交省相が、記者会見で返答を述べましたが、この先の予防措置については国に責任ありというもので、既に行われた契約についての助力は期待できないということが、はっきりしています。
以上、サブリース契約についての説明です。
レオパレスのアパートオーナーは、施工不良の問題で頭を悩ませていると思いますが、それ以上に、レオパレスの経営悪化で、家賃の減額がこれまで以上に頻出する恐れがあります。
減額が起こるかもしれないということには、あらかじめ準備をしておいた方がいいと思われます。
また、相談をするときには、必ず相手が誰かわかっている人のところに相談するのが安心です。
サブリース契約それ自体は、法律的には問題はないため、訴訟などでは解決しづらいと思われますので、「お金を払えば何とかしてやる」というような申し出やサイトには慎重に対応してください。
サブリースと収益不動産に関するお役立ちサイト
上の「アパート等のサブリース契約で特に覚えておきたいポイント例」の一番下に一覧があります。
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