タテルの融資資料改ざん問題で、国交省がタテルに対し業務停止の行政処分を行う方針を決めました。
タテル側は、業務停止ではなく業務改善命令が妥当だとして、弁護士が意見書を提出していますが、おそらく業務停止は免れないでしょう。
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タテルに業務停止命令の方針
東証1部上場の不動産会社TATERU(タテル、東京)が西京銀行(山口県)などのアパート投資向け融資で、資料を多数改ざんした問題で、国土交通省はタテルに対し、宅地建物取引業法にもとづく行政処分を近く下します。
西京銀行の融資資料を改ざん
タテルは2015~18年の宅地売却336件で、預金残高などを記した顧客の融資資料を改ざん。
営業部長ら31人が、ネットバンキング画面を偽造して預金残高を水増しするなどして、金融機関から不正に融資を引き出させるという不祥事が明らかになっています。
国交省はこれらが「宅建業に関し不正または著しく不当な行為」にあたると判断し、業務停止命令の理由となるとしています。
取締役は関与の証拠なし
なお、改ざん行為は主に営業部長が自ら行っていた他、営業部長の指示を受けて各営業担当者が行ったとあります。
営業部長の上長にあたる営業本部長や、代表取締役や専務取締役などの役員については改ざんに関与した証拠は見つからなかったとしています。
背景にはパワハラか
調査委の報告だと、「厳しい上下関係の存在があった」他、営業成績の良くない従業員に対し、会議の場で「人格否定とも取れるようなパワハラ的発言」があったことなどが、不正の背景にあるということです。
また、融資書類の改ざんの他にも、顧客に対してTATERU側が頭金の一部を負担したり、信販会社のビジネスローンを使うよう提案されたりなどという行為も報告されています。
これらの行為は、宅建業法47条に抵触する可能性は非常に高いとして、国交省は事態を重く見て厳しい処分を行うこととなりました。
タテル側は「業務改善命令が妥当」
今回の国交省の方針に対し、タテル側は、業務停止ではなく業務改善命令が妥当だとして、弁護士が以下の要旨の意見書を提出。
「TATERUが管理するアパートは現在の入居率が98.8%と高く、オーナーから要望があれば不動産の買い取りなどの対応もしている。
破産に至ったりローン返済に窮したりしているケースはなく、関係者に損害が発生していないから被害者は存在しない」
顧客らに損害はないということが、業務停止命令が重すぎるということの理由ですが、融資を行った西京銀行は、焦げ付きを予想、貸し倒れ引当金を18億円計上したために業績が落ち込みました。
西京銀行は不動産融資から撤退
タテルの顧客に融資を行っていた西京銀行は、問題を踏まえて、4月にアパート投資向けの新規融資から撤退しています。
それまでも、不動産投資向け融資が頭打ちであるとして、辞めることも念頭にあったようですが、TATERUの問題で早まったと表明。
この問題で、貸し倒れ引当金を18億円計上したため、純利益が23・6%減と落ち込みました。
タテルは西京銀の優先株は今年1月までに売却され、タテルとの資本関係を解消しています。
タテル社長が謝罪
国交省関東地方整備局で21日、タテルの意見を聞く聴聞が開かれ、古木大咲代表は「事実に相違なく、反省している」と述べたということです。
以上本日までのタテルの行政処分の状況です。
西京銀行は行員の関与はなかったということですが、業績が悪化、不動産融資からの撤退を早める結果となりました。
顧客には今のところ「被害が出ていない」というタテル側の主張ですが、その状態が続くことを願うばかりです。
近いうちに国交省の正式決定が発令される見込みです。