フラット35を不動産投資で悪用した例が、昨5月に発覚しました。
今度は、それが民間金融機関の住宅ローンで行われていたことがわかりました。
中央労働金庫の他、みずほ銀行や楽天銀行、常陽銀行でも確認されています。
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住宅ローン 居住用と投資用の違い
住宅ローンは、自分が住むための家を買った時に利用できるローンです。
住宅ローンがあるおかげで、家の価格と同じだけの現金がなくても家を買うことができ、低金利の分割払いで支払った上で家が利用できるというのがローンの大きなメリットです。
ところが、これを住むための家ではなくて、投資用の物件に用いた不正が見つかったのが、去年の5月のことでした。
住宅ローンを投資用に用いることは本来禁止されていることです。
当然、業者はそれもわかっていることなのですが、業界では「なんちゃって」と言われる通り名で不正が横行していました。
用いていたのは一部の不動産業者で、名前は明らかになっておりませんが、それを承知の上で、顧客に勧めていたことがわかっています。
フラット35を投資用に不正利用
不正の件数は全部で113件、不正の用いられたローンのタイプは、フラット35の中でも金利の低い、フラット35S というものであることがこれまでの調べで分かっています。
フラット35Sというのは、省エネやバリアフリーなどの性能基準を満たした住宅に適応されるというもので、フラット35よりさらに0.25%の低い金利が適用されるというもので、ぎりぎりまで金利を低くするのが狙いなのです。
住宅ローン不正に民間金融機関も
ところが、朝日新聞の独自の調査では、不動産業者らの内部資料から、不正が疑われる事例は120件超に上り、4割がフラット35、そのほかは民間金融機関であることが、さらにわかったということのです。
住宅ローン不正を行った金融機関
現在のところ、住宅ローン不正の確認された金融機関は、金融機関は、中央労働金庫の他、みずほ銀行、楽天銀行、常陽銀行の名前があがっているということです。
金融機関側の対策とコメント
取材に対しての、中央労働金庫のコメントは「一部に居住目的だと偽って、投資目的として住宅ローンを利用していると疑われる事例が確認されている」と回答。
審査基準を見直して、居住確認を強化しているといいます。
居住の確認が難しい理由はというと、業者側の工作が巧みであることが挙げられます。
ポストに投資者の名前と賃借人の名前
たとえば、マンションのポストには、名札のような名前がありますが、このポストに投資者の名前と賃借人の名前の両方が記されているようになっている例があります。
もちろん所有者はここには住んでいないわけですが、実際には住んでいない所有者名も表示してあるのです。
これでは、金融機関の職員が確認に訪ねてきても不正が発覚しにくくなってしまいます。
その場合はもちろん、投資用マンションを買った顧客である、マンションの所有者オーナーも、住宅ローンを利用していることを承知であり、業者の指示を受けていたとみられています。
不正発覚で全額返済も
顧客の多くは、20代から30代の会社員オーナーだそうで、今のその大半が、金融機関から優位が継続されて、ローンの支払いが続いている状態だそうです。
しかし、この不正が発覚すると、不正を行った案件の利用者に対し、すべて全額返還の一括返済が求められます。
物件の価格が適正でなく、担保価値が十分にない、また手持ち資金もないという場合には、自己破産も免れなくなります。
業者側が物件価格を釣り上げて販売している、また、リフォーム代金として徴収をしておきながら、リフォームをしておらず、その分を業者が自身で懐に入れているということもこれまでの調査で分かっていることです。
物件に担保価値があるかないかは、そのようにローンが支払えなくなった時には重要なことなので、物件の価格が適正かどうかは、必ず確認をする必要があります。
これは、投資用物件に限ったことではなく、居住用に購入する場合においても同じことです。
サブリースの賃料保証は
さらには、このマンション投資は、サブリース契約によるもので、マンションを買ったオーナーは、賃料を不動産業者を通して毎月受け取っており、それで、ローンを返済しています。
そして、居住用と偽って借りたローンが発覚していないオーナーについても、サブリースの支払いが永続的にある保証がありません。
マンションを販売した不動産業者の会社の従業員は
「我々も(約束した)家賃を払い続けているが、(金融機関からの)新規融資は難しくなってきて、いつまでもつかわからない」
と話しているということです。
新規の融資が受けられないと、マンション投資の実を扱う会社は、運営が難しくなり、サブリースの支払いも滞ることになります。
今のところは伝えられて起きていませんが、これららの不正を行った業者は、何らかお処分を受けることも予想されており、そうなった場合は、他のオーナーにもリスクが及ぶことになりかねません。
住宅ローンの不正な利用は、けして安全なことではありませんので、万が一、住宅ローンを投資で勧められたとしても、勧誘に乗らないように、金融機関を含めて広く注意を呼び掛けていただきたいものだと思います。
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