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スルガ銀シェアハウス融資の「元本一部カット」被害者は「代物弁済」求めるも交渉拒否

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女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」不正融資問題で、一部の住宅ローン業務が6カ月間停止の行政処分を受けたスルガ銀行が、被害者でもある投資者オーナーに対し、「元本の一部カット」を含む通知を送っていたことがわかりました。

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シェアハウス被害者への通知内容

2018年10月下旬、有國三知男社長名義でスルガ銀行から「『シェアハウス等顧客対応室』のご案内」と書かれた通知書。冒頭「シェアハウス関連融資等の問題については、多大なるご心配とご迷惑をおかけしておりますことを深くお詫び申し上げます」で始まる通知が送られました。

以下はその一部の内容です。

当社は0月5日に銀行法第26条第1項の規定に基づき、金融庁により行政処分を受けました。行政処分の内容は多岐にわたりますが、シェアハウス向け融資及びその他投資用不動産融資に関しては、「金利引き下げ、返済条件見直し、金融ADRなどを活用した元本の一部カットなど、個々の債務者に対して適切な対応を行うための体制の確立」を命じられております。

すでにおしらせしておりますとおり、当社は2018年7月に「シェアハウス等顧客対応質を設置し、訳60名の専従職員を対置して、大手不動産業者などとの連携による入居率向上のお手伝い、適用金利の恒久的な引き下げや元本返済の一定期間据え置きを含むご返済計画の見直しなど、個々のお客様の状況・ご要望に応じできめ細かなご支援を行っております。当社といたしましては、金融庁の行政処分も踏まえて、個々のお客様の個別具体的なご事情に応じて、柔軟な対応をさせていただく所存です。ご事情によっては、必要に応じで金融ADRなど(たとえば民事調停など)を利用し、元本の一部カットをさせていただくご用意もあり、金融機関として取り得るあらゆる選択肢について踏み込んだ検討を行う意向でございます。

なお、文中の金融ADRとは国の指定紛争解決機関で行われる「裁判外紛争解決制度」のこと。金融機関と利用者の間で発生した紛争を短期で解決するため、金融機関とのトラブルの際に誰でも利用できるものです。

これまでの強硬姿勢は一転

2017年10月19日付のスルガ銀行からの、ガヤルドの弁護団への回答書には「請求に応じる意思は一切ありません」「自らの判断の間違いによる損失を不当に転嫁しようとするものと言わざるを得ません」という、責任を回避する言葉が並んでいました。

しかし問題が明るみに出たことがきっかけとなり、今は「元本の一部カット」という転換が行われています。

理由は金融庁の命令

ひとつには、上の通知にも繰り返し記されているように、金融庁に「金利引き下げ、返済条件見直し、金融ADRなどを活用した元本の一部カットなど、個々の債務者に対して適切な対応を行うための体制の確立」を命じられたためです。

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金融庁が債務者を「被害者」と認める

金融庁が、「シェアハウス向け融資およびその他投資用不動産融資に関して、金利引き下げ、返済条件見直し、金融ADR等を活用した元本の一部カットなど、個々の債務者に対して適切な対応を行うための態勢の確立」と言ったということは、スルガ銀行で融資を受けたシェアハウスオーナーが「被害者」であることを認めたことになります。

スルガ銀行が従わなければ銀行免許剥奪もありうるとのことで、銀行側はこれに従わなければならず、そのために上のような通知が送られたことになります。

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被害者弁護団の求める「代物弁済」

そして、もう一つ注目したいのは、通知の中で「個々のお客様」と、繰り返されている点です。というのは、シェアハウス被害者の弁護団がスルガ銀行に求めているものが、『代物弁済』であるためです。

代物弁済とは、借金返済の代わりにシェアハウス物件を銀行に返すことを言います。今物件を売却処分しようとすると、代金として支払った額より、低い値段でしか売却できません。

元々、建物が本来の価値よりも高い値段で売られたこと、建築途中のものもあること。また運営会社数社のシェアハウスの売却が一度に行われていると、需要が低くなるため価格が下がってしまうためです。

なので、オーナーらは大きな損失が出ることを避けるために、ローンの返済の代わりに、建物を引き取ってもらいたいという要求をしているのです。

「一部元本カット」というのは、借金をした金額を少なくするということですので、「全部」と「一部カット」では金額に相当な違いがあり、被害者弁護団の求めるものとは違いがあります。

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代物弁済についての解答

これについて、有國社長の回答は

顧客対策室にぜひ相談の上、「一律でなく、あくまで個別に相談するようお願いする」「(代物弁済)はお客様の個々の状況に応じて対応したい。協議のなかで場合によっては元本一部カットも、と申し上げている。話し合いのなかで、(代物弁済が)テーマになる可能性もある」というものでした。

あくまで「個別」、一律交渉はしない

現在弁護団には270人のオーナーが弁護士に本件について委任をしています。弁護団はそのオーナーらの債務について、一律に建物の代わりにローンをなくしてほしいという交渉をしているわけですが、スルガ銀行側はそれを拒否しています。

それまでは、スルガ銀行の弁護士と弁護団の交渉は日を決めて行われていましたが、9月に入って、いずれの弁護士も辞任。一人残った弁護士についても、「交渉を行わないよう」命じられているということです。

スルガ銀行側が交渉を避ける理由は

上に記した通り、シェアハウスを売却などで処理すると多額の損失が出る可能性があり、それはスルガ銀行側も同じで、スルガ銀行側にも損失がかさむことになります。それが、スルガ銀行側が交渉を避けている理由と思われます。

また、オーナーの数が1千人規模と報道された通り多数ですので、中にはいろいろなケースがあります。手持ち資金がゼロで全額融資を受けたというオーナーも居ますが、逆に手持ち資金で購入したオーナーはスルガ銀行からの融資は受けておりません。また、スルガ銀行から融資を受けた中にも、全額ではなかったオーナーもいると思われます。

さらに、建物が完成していないシェアハウスについては、賃貸料収入はまったくありませんが、入居者が居て賃料が発生しているシェアハウスもあります。返済状況や能力についても様々であり、オーナーの多くは会社員ですが、中には医師などの返済能力が高いと思われる人もいます。

そのためスルガ銀行側は「個々のお客様の個別具体的なご事情に応じて」として「一律交渉をしない」姿勢であるようです。

被害者はスルガ銀行前でデモ

金融庁の行政処分後の10月15日東京都中央区日本橋にあるスルガ銀行東京支店の前で被害者同盟の抗議デモが行われました。被害者らが「スルガ銀行は不正融資を無効にしろ」「スルガ銀行はシェアハウス被害者に謝罪しろ」と呼びかけたと言います。

一方、スルガ銀行は、直接交渉が可能な購入者について9割と面談し、そのうち7割以上で金利・返済方法の条件変更を実施したと説明してますが、その具体的な人数は明らかになっていません。
ただし、銀行側としては金融庁の命令下で、交渉を進めるということですので、個別交渉でオーナーが少しでも楽になるように今後の報道を注目していきたいと思います。

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