シェアハウス投資の不正な融資の発覚で行政処分の業務停止の期限が過ぎ、再建に向けて動き出したスルガ銀行が、新生銀行と提携することが決まりました。15日にも発表するとみられています。
提携に当たって、岡野光喜前会長が全株式の売却を望んでいるということです。
スルガ銀行の提携をめぐる動きと保有株の売却についてお知らせします。
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スルガ銀行、新生銀行と提携へ
不動産向け融資をめぐって多数の不正が発覚したスルガ銀行が、新生銀行の出資を受け入れて同行と資本・業務提携を結ぶ方針を固めました。
スルガ銀行は新生銀行以外にも家電販売大手のノジマ(横浜市)とも交渉、幅広い支援を求める考えと見られています。
スルガ銀行15日決算発表で提携を公表予定
スルガ銀は15日に2019年3月期決算の発表を予定しており、新生銀との提携も公表する予定です。
新生銀行と「包括提携」
日経新聞の報道だと「包括提携」とされており、出資比率は最終調整中。
スルガ銀が得意とする個人向けの住宅融資を、新生銀の顧客にも提供するなど、共同で業務に当たる内容です。
また、金融庁はスルガ銀に企業統治の改革を急ぐように求めており、両行はこの点でも協力するということです。
新生銀行、残る負債で資金は不透明
新生銀は公的資金の注入を受けた後の1998年に経営破綻(はたん)した日本長期信用銀行が前身であり、その借金約3500億円分が今も未返済のまま残っているということです。
資金面では、新生銀行が十分な支援をできるかどうかは懸念材料として残っています。
ノジマはスルガ銀株を5%弱保有
また、家電量販大手のノジマはスルガ銀行の株の4.98%を取得。
提携へも意欲を見せていましたが、最終的に金融庁が、提携するのは銀行が望ましいと判断したと伝えられています。
スルガ銀株を岡野元会長が売却の意向
スルガ銀行の業務提携の交渉での最大のネックは、創業家岡野光喜前会長と、岡野家ファミリー企業が保有する株式と言われてきました。
岡野家のスルガ銀株保有率
創業家の関係会社や団体が保有していたスルガ銀行の株は15%。
創業家が依然大きな影響力を持っていることが懸念されていました。
資金の流れは、関連会社への融資は約488億円、そのうちの約69億円が岡野光喜元会長に流れていたことが明らかになっています。
そのため、提携をするといっても、子会社化できるのか、資本提携か業務提携かなどど提携の内容を決定しにくく、そのため交渉が進まないのでは、と見られていました。
しかしここへきて、岡野元会長が、株式の売却を望んでいるということが伝わってきています。
岡野元会長が「全株式の売却を打診」
ダイヤモンドオンラインによると
「創業家サイドの事情で、保有している全株式を売却しようとしている。創業家は、影響力を残そうとは考えていないようで、支援先候補に全株式の売却を打診しているとの情報がある。創業家は、少しでも高く買ってくれる支援先にしてほしいと考えていたようだ」(関係者)」
と明かしており、そうなると、経営陣に残りたいということで交渉が難航していたのではなくて、買取先と金額の方がネックとなっていたというべきかもしれません。
「創業家サイドの事情」というのは、経済的な事情ということでしょうか。
全株を売却するとなれば約163億円になるといいます。
そしてさらに、関連会社への融資488億円と岡野元会長の69億円は、スルガ銀行から返却を求められています。
スルガ銀行東京支店も売却か
さらに株式だけではなく、一等地にある東京支店の店舗の売却が話に上がっています。
スルガ銀行の東京支店は「日本橋」のたもとに位置し、目の前は三越伊勢丹の日本橋本店。
それだけでも既に一等地である上、周辺の日本橋地域は三井不動産が大規模開発中で、首都高速道路の地下化も計画されているというところだそうです。
関係者は
「東京支店は東京を代表する日本橋で、しかも再開発地域のど真ん中。となれば、三井不動産を始めとする不動産会社にとっては、喉から手が出るほど欲しい物件。かなりの高額で取引されるのではないか」
と話しており、ここもスルガ銀行の所有ではなくなるのかもしれません。
「クレマチスの丘」と美術館は?
静岡県の地元にある、岡野家の聖地と言われた「クレマチスの丘」と美術館事業、その周辺施設等はどうなるのか。
スルガ銀行から岡野家のファミリ―関連会社への融資の目的は、「クレマチスの丘」にある美術館事業の維持が目的であったようですが、スルガ銀行を手放した創業家で今後もそれが持ちこたえられるのかどうかも気がかりなところです。
明日、新生銀行との提携の正式発表がある予定です。
本日のスルガ銀行の提携関連のニュースは以上です。