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積水ハウス株主提案否決に至った理由は会場の変更とコロナ

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積水ハウス株主総会が先月23日に開催、地面師事件後に現経営陣に辞任させられた前会長和田勇氏が、経営陣刷新の株主提案の行方が注目されていましたが、あえなく否決。

勝算ありと事前に語っていた和田氏の提案が通らなかった理由は、積水ハウス側の会場変更と新型コロナの影響であったと言われています。

和田氏の提案が否決となった理由をお伝えします。

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和田勇氏の株主提案までの経緯

 

五反田の土地取引をめぐって地面師と言われる詐欺グループに55億円をだまし取られた積水ハウス地面師事件、その責任を問うべく、前会長が報告書の作成を命じたことは記憶に新しいところです。

ところが、報告書が出来上がると、和田氏は辞任に追い込まれ、そのときの社長であった阿部俊則氏が会長に就任しました。

その後、首謀者とされた地面師ら複数は起訴されて、別な事件で収監中であった土田マイク、また事件後にフィリピン逃亡をしていたカミンスカス操被告らは、それぞれ判決を言い渡され、地面師事件もいったん終結したかに見えました。

しかし、その後、和田勇氏が、自らも加わった新たな経営陣の候補者を選出、株主提案を行うことが報道されたのです。

前会長和田勇氏”復讐ではない”

和田氏は、株主提案が、現経営陣の復讐、つまり、仕返しではないこと、さらに、自分が経営陣に戻りたいためではないことを強調。

今回の提案に関しては、十分な勝算があると語っていました。世間は、積水ハウスの経営陣が誰になるのかはともかく、それによって、地面師事件の全貌が明らかになることを期待していました。

しかし、23日の夕方には、その株主提案が否決されたことが伝わったのです。

前会長の株主提案が否決の結果に

なぜ株主提案は否決に至ったのか。

一部の報道では、多くの機関投資家は、経営陣の刷新を望まなかったというようにも伝えられました。

しかし、今回のビジネスジャーナルの記事を読んでみると、どうもそれだけではなく、どうやら現経営陣の対策が功を奏した、というより、この時期のタイミングが経営陣にとって幸いしたようです。

積水ハウスの株主の割合

積水ハウスの株主の割合は、金融機関が40.01%、外国人が30.37%と言われています。

そのためか、和田氏は、新経営陣の筆頭には、米投資銀行トップのクリストファー・ダグラス・ブレイディ氏を候補者に、他の米国人を含む新経営陣10人を選任。

さrに、アメリカの助言会社グラスルイスとインスティテューション・シェアホルダー・サービスシーズの2社が、阿部氏らの再任を阻む助言も行いました。

この助言は、外国人の株主の30%の多くが従うとされており、和田氏は、それを含めて、株主提案の可決に向けておこなりなく準備をしたようです。

 

新型コロナで株主総会の場所を変更

しかし、株主提案の前には、思わぬハプニングが起こりました。それが新型コロナ感染の拡大です。

株主総会の開催場所であった大阪ウエスティンホテルが開催ができず、積水ハウス側は、15日に株主総会の場所を変更すると発表。

積水ハウスのある梅田ビルの35階が新たな会場となりましたが、これがウエスティンホテルと同じビルにある部屋だそうです。

この変更で予想されることは明らかでした。

和田氏側が大阪地裁に抗議の申し立て

和田氏側は「積水ハウス株主総会の会場変更の暴挙に対する緊急抗議声明」を出して、次のように抗議。

すなわち、積水ハウスの関連会社が所有するビルの空き室であり、そこに参加する株主の数をコントロールできるというのが、和田氏側の懸念するところでした。

例えば、積水ハウスの従業員を先に部屋に入れてしまい、他の株主を締め出すことも可能であるというのがその言い分です。

和田氏側はこれを正式に大阪地裁に15日に直ちに申し立てを行いました。しかし、大阪地裁は21日に申し立てを却下。

株主総会が予定通り、その2日後に行われることになったのです。

株主総会開催までの間にそのような息詰まるドラマがあったということが、ここへきて初めて明らかになりました。

株主総会への出席者が10分の1に

結局、出席者の数昨年の10分の1となり、結果は、阿部氏側が圧勝して、株主提案は否決されました。

ただし、明らかに経営陣側ではない株主たちの票、いわゆる浮動票というものですが、それが集まらなかったのは、”会場”の移動のせいだったのか。

『経済界』編集局長の関慎夫氏は

「出席者は昨年の10分の1にとどまり、2時間余りで紛糾せずに終わった。多くの株主は会社の内紛よりも、感染拡大を続ける新型コロナが気になったようです」

と分析。

過ぎてしまった地面師事件云々よりも、感染を恐れて、あえて出席をしなかったということなのかもしれません。

コロナと共にもっと世情が落ち着いたときの総会及び株主提案であったなら、あるいは、違った結果になっていたものかどうか。

とにかくも、これで地面師事件の真相はまた闇の中に葬られることになってしまったようです。

 

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