家電大手のノジマの野島広司社長がスルガ銀行の副会長に就任することが、今日の朝日新聞で伝えられました。
6月末に予定する株主総会後の取締役会で正式に決めるとのことです。嵯峨行介副社長が社長に昇格し、有国三知男社長は会長にそれぞれ就任するということです。
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ノジマの野島広司社長がスルガ銀の副会長に
家電大手のノジマは、昨年10月にスルガ銀行の全株式を取得、持ち株比率18%となりました。
そして、ノジマの野島広司社長がスルガ銀行の副会長に就任することが昨日伝えられました。
スルガ銀行のそれまでの副社長を務めていた嵯峨行介氏が社長に昇格し、シェアハウス投資の不正な融資問題の後、2018年9月から社長を務めていた有国三知男社長は会長に退くということです。
スルガ銀行再建の歩み
創業家の岡野家の関連企業が株を手放したことで、スルガ銀行が再建への道を大きく歩み出したのが、昨年10月のことです。
スルガ銀行はそれまで、多額の資金を融資、時には美術館への”寄付”といった不明瞭な形で、創業家の関連企業への支援を続けていました。
その関係が解消されない限り、他の企業が提携に至れないということで、関係解消が急がれていたものの、創業家側との交渉は難航し、一時は全くストップしたかに思われました。
日本橋のスルガビルを売却
しかし、10月に全株式が売却されたのち、日本橋にあるスルガ銀行の東京支店があったスルガビルも2月に売却が成立、スルガ銀行の聖地とも言われた場所ですが、それもとうとう手放されました。
シェアハウスオーナーの借金帳消しに
3月末には、さらに、スルガ銀行の今回の問題の大本であるシェアハウス投資のオーナーたちの借金を帳消しにするということが発表になりました。
それまでは、個別にADRでの解決を求めるということで、交渉を進める人がいる中、被害弁護団が建物を引き取る代わりに借金を無しにする代物弁済と求めているということになっていました。
それもとうとう、”帳消しにする”という異例の措置が取られたことで、一連の問題がほぼ終結した感があります。
ノジマとスルガ銀行の提携はなぜ?
野島広司社長は、就任が決まれが、社外取締役の副会長としてスルガ銀行の経営に参加することになります。
しかし、金融庁は、最初にノジマとの提携の話が出た時には金融機関でないとして、名乗りを上げたノジマを退けたらしい話も伝わっています。
それで、いったんは新生銀行が業務提携するということになりましたが、家電大手のノジマとスルガ銀行の提携には「なぜ」という人が少なくありません。
ノジマの目的は「カード事業」
ノジマの目的というのは新しい「カード事業」であることが伝わっています。
そもそもの問題であった投資用の不動産向けの融資から、スルガ銀行は今後は個人向け金融に方向転換、一方ノジマは「家電量販店も飽和状態になっていて、ノジマは新たな収益源を求めていた。」(関係者「東洋経済」)というのです。
提携先を探していたところ、たまたまスルガ銀行が上記のような事情になり、ノジマにとっては渡りに船だったわけです。
既に2017年に富士通から買収した、個人向けインターネット接続事業のニフティ、携帯電話販売の大手代理店ITXなどとスルガ銀行をつなげることで、”先進的なフィンテック事業を手がける銀行に生まれ変わらせる”というのが、ノジマの目的であるようです。
スルガ銀行の経営に参加し連携を強化
野島社長は20年1月の日経新聞のインタビューでは、既に、出資比率の引き上げや役員の派遣を通じ、同行との連携を強化したい、そのためには、
株式を買い増したり、人を送り込んだりすることも一つの手段
と話しました。
スルガ銀行の経営に参加することで、クレジットカードなど個人向け金融分野での連携を進めていきたいという考えだということです。
スルガ銀行生え抜きの有国社長が会長となって退き、外部の佐川急便の親会社SGホールディングス取締役から迎えた嵯峨行介副社長が社長に昇格、そこにノジマが参加すれば、それまでのスルガ銀行の面影はもうありません。
スルガ銀行は、これまでのシェアハウス投資にまつわる失点を削ぎ落し、大きな転換を遂げながら、いよいよ再建を始動することとなりそうです。ノジマの社長の就任が正式に決まるのは、6月の株主総会後だということです。