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積水ハウスのガバナンスはどうなっていたのか 朝日新聞が地面師事件特集

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積水ハウスの株主総会について、朝日新聞が特集記事を掲載します。

地面師事件土地取引問題をめぐる、積水ハウスのガバナンスを追及するというものです。

地面師事件の解明につながる糸口が見つかるのか期待されます。

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積水ハウス地面師事件の顛末

建設大手積水ハウスが、五反田の旅館跡地の売却を持ち掛けられて55億円をだまし取られた事件、その後、主犯格の”地面師”たちの判決が伝えられているところです。

首謀者とされた地面師ら複数は起訴されて、別な事件で収監中であった内田マイク被告がが14年、また事件後にフィリピン逃亡をしていたカミンスカス操被告が11年、土井淑男被告が懲役11年、と一審でそれぞれ判決を言い渡されています。

積水ハウスの内紛劇

ところが、被害者である積水ハウスには、地面師たちの起訴を喜ぶまでもなく、新しい”事件”が持ち上がっていました。

いや、新たな事件ではありません。もしかしたら、積水ハウスの内部の証言の通り、地面師事件そのものが、積水ハウスの幹部が承知で行われていたとしたら、事件は一連のものとなる可能性もあるのです。

どういうことかをかいつまんで言うと、地面師事件の発覚後に、積水ハウスのトップである会長和田勇氏が、地面師事件の調査を命じた。ところが、その調査報告書が完成、つまり、調査の終了と同時に、和田氏の部下となる、阿部社長とその側近たちが、和田氏を辞任に追いやり、阿部社長は和田氏の後の会長に、その他の経営陣も、それぞれ昇格を果たした――というのが、この”第二の事件”の内容です。

阿部会長は「知っていた?」の疑念

なぜ、それを”事件”といいたいのかというと、内部の証言に、当時の阿部社長は、取引の途中で本物の土地所有者が連絡をしてきたことを知っていたということなのです。

そこで持ち上がったのが、土地売却を持ち掛けたのが地面師一味であることを知っていたのではないかという疑問です。

とすると、地面師だけが55億円を受け取ったのではない可能性もあります。そのお金の幾分かは、事件を画策した地面師以外の人の懐にも入ったのではないか。あるいはそのための偽装取引だったのではないか。

となると、現経営陣がそれを受け取ったのかと疑念もわきますが、そうではなくて、百歩譲って、逆に現経営陣の誰かが、脅されていたという可能性もなくはない。

土地売買を仲介したIという会社、その会社内部の人物と、積水ハウスの社員との間に「不適切な関係」が存在したというのが、調査報告書の示唆するところなのです。

というのも、この I社の人物は、55億の受け渡しと同時に仲介他の料金として、億単位の金を受け取っているが、この期に及んでも積水ハウス側はその返却を求めていないと伝わっています。

詐欺事件の口利きをした相手に、数億をそのまま渡しているというのはどういうことなのか。

もちろん、皆に何らかの”事情”があって、どんどんお金が回っているのなら、外部の人が忖度する余地はありませんが、それこそ「マネーロンダリング」との指摘がある所以です。

旭化成レジデンスが買い取った海喜館

この土地はもちろん、積水ハウスのものにはなりませんでした。土地取引そのものが偽物では成立する余地もないものです。

結局土地はどうなったかというと、旭化成レジデンスが契約、現在は、元旅館の海喜館は解体の最中だということで、このあとは、おそらくビル化マンションなどが建つ予定なのでしょう。

土地所有者からの連絡を無視

しかし、この海喜館の所有者からは、積水ハウスに連絡が入っていたのです。つまり、今進んでいる土地取引は無効である、自分が所有者なので、そんなはずはないというのが積水ハウスの受けた連絡でした。

その連絡に耳を貸していれば、どのようなことが起こったかというと、積水ハウスは、当然地面師とも取引をやめ、連絡のついた本物の所有者と改めて取引を勧めればよかった。

情報提供に感謝しつつ、土地を手に入れる可能性はあったわけです。

何しろ、売らないといっていた旅館の元女将はなくなり、代替わりした所有者が旭化成に売ったのは事実なのですから、その前に連絡を受けた積水ハウスは、いくらでもチャンスはありました。

話を聞いた上で、購入を申し入れていれば、地面師とはそこで終わり、正規の土地取引が成り立ったのです。

この五反田の土地は、誰もが欲しくて誰もが手に入れられない土地だったのです。旭化成が出てくる前は、積水ハウスがこの土地を購入するチャンスがあった唯一の企業であったはずです。

積水ハウスは、お金だけを失ったのではない、むしろ、土地を購入していれば得られたかもしれない大きなビジネスチャンスをも逃したということになります。

そうなると、また頭をもたげてくるのが先の疑問点です。積水ハウスの幹部がこのことを知っていたとするなら、現金とそれ以上の利益の両方を失った、そうしてまでも、詐欺と知っていて取引を進めた理由は何だったのでしょうか。

いずれにしても現時点では、積水ハウスは被害者ということになっていて、もう終わってしまった事件であるわけなのですが、朝日新聞が「けいざい」のコラムでこの特集を組むことになったのです。

新しいニュースというのではありませんが、事件の解決の何らかの糸口が示されないものか。引き続きこのブログでもお伝えしていきたいと思います。

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