スルガ銀行の借金帳消しの様子を朝日新聞が伝えました。
スルガ銀行で融資を受けたオーナーらは、元本カットから、借金を帳消しにすることに成功しました。
一体なぜそのようになったのでしょうか。
スルガ銀行は手続きを進めている最中ですが、これには様々な条件がある他、スルガ銀行が融資を手掛けたすべての物件に適応となるわけではありません。
スルガ銀行の借金帳消しについてまとめます。
スポンサーリンク
スルガ銀行の顧客が借金帳消しに成功
女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」の不正な融資事件で、シェアハウスオーナーの借金が帳消しになるということが伝えられたのは、昨年11月のことでした。
それが、実行されたのは3月25日のことです。この日をもって、シェアハウスに投資したオーナーは、ローンの支払いから解放されました。
シェアハウス投資の借金帳消しを伝える記事
今年3月の借金を帳消しを伝える朝日新聞の記事です。
スルガ銀行は25日、シェアハウス融資で不正が多発した問題で、融資を受けた約250人に対し、物件を手放すと同時に残債をゼロにする手続きを実施した。銀行が借金を「帳消し」にする異例の対応となった。 -朝日新聞
信じがたい話ですが、この時点で、250人が借金を帳消しにすることに成功しました。
シェアハウス融資のオーナー250人の借金帳消しに スルガ銀行
新たに160人が借金の棒引きを求める
2020年の8月には、最初の250人に続く、160人が新たに借金を帳消しにする手続きを求めました。
シェアハウス被害者160人スルガ銀を提訴 ガヤルド他アパートも対象
スルガ銀行の現社長、嵯峨行介社長が、「同じスキームを希望される方は受ける」と言ったためです。
嵯峨社長は、これについて、「一日も早く終局的に解決しないといけない」と述べ、今後も問題解決を急ぐとしています。
スルガ銀行がシェアハウスの借金を帳消しにした理由
シェアハウス投資にの融資には、スルガ銀行の行員の積極的な不正な関与が、これまでの第三者委員会の報告書でも明らかになっています。
それにしても、銀行が融資の借金をゼロにするとは、たいへんなことです。
なぜ、このようなことが可能になったのでしょうか。
借金帳消しは嵯峨社長の決断
それには、まず、上に名前を挙げた、嵯峨社長の姿勢にありそうです。
9月9日の朝日新聞によると、
あるスルガ銀行関係者は、昨年6月に副社長として銀行入りした元SGホールディングスの嵯峨行介の名前を挙げ、「彼がいなければ決断はできなかった」と振り返った。
嵯峨社長はなぜ借金を帳消しにしたのか
それでは、なぜ、嵯峨社長はこのような異例の措置をとることにしたのでしょうか。
嵯峨社長は、もともとシェアハウス問題の解決が、スルガ銀行の再建に不可欠と考えていました。
スルガ銀行の副社長に迎えられて、19年9月のインタビューで、「シェアハウス所有者への負担軽減を検討している」と話したことが最初です。
他に、「(シェアハウス問題は)解決していない。所有者に納得してもらえる終結を迎えなければならない」とも話していました。
嵯峨社長当時のインタビュー:
スルガ銀行が創業家との関係解消9月/シェアハウス負担軽減も検討
スルガ銀行の信用回復が第一
そうした発言のネックには、スルガ銀行の信用回復ということを第一に考えた姿勢があったようです。
「こうした問題を解決しない限りスルガ銀行の信用は戻らない」
スルガ銀行の前には、連日のように、シェアハウスの被害者たちが詰めかけて、プラカードを持ち、声を張り上げて、デモを繰り広げていました。
このデモは、月に2、3度、計50回超にも及んだといいます。
また嵯峨社長は、岡野家との関係断絶についても、驚いたことに自ら、創業家との交渉に入ったことも伝えられました。
19年6月の副社長就任後に、
「お互いに責任を果たして決着をつけませんか」「どうしても決着がつかないなら、債権者として行動を取らないといけない」
というように、創業家に実際に言葉をかけたのも、嵯峨社長です。
考えてみれば、これは、それまでのスルガ銀行出身者ではできなかったことでしょう。嵯峨社長が外部から迎えられた人だったからこそ、このような態度が取れたのだと思われます。
結果、2019年10月末には、ノジマが、岡野家の全株式を買い取ることが決まりました。
そして、嵯峨社長が就任後、今回のような思い切った措置が取られたのです。
借金帳消しはシェアハウスのみ
もっとも、借金帳消しになったのはシェアハウスのみ
朝日新聞はシェアハウスだけが投資物件ではないということを指摘しています。
昨年5月公表の調査結果では、融資した投資用不動産の約2割にあたる7813件で改ざん・偽造などの不正を確認したが、そのうちシェアハウスは886件のみ。残る6927件はシェアハウス以外で、不正が確認された融資額はシェアハウスの約4倍の4427億円に上る。
たしかにスルガ銀行が説明する通り、シェアハウス以外の物件では、不正の手口は多様だった。ただ、朝日新聞の取材で判明した分だけでも、シェアハウスと同等かそれ以上に悪質な事例が含まれている。
おそらく、被害者と弁護団は今後は、シェアハウス以外の対象物件への交渉も続けていくと思われますが、それにしたところで、十分に前例のない対応です。
これによって、スルガ銀行が信用を回復し、再建への道を歩み出すことが望まれます。