5月から販売が開始された、ハルミフラッグ。現在のところ売れ行きは伝わってきていませんが、人気が衰えることはないというコメントを出す専門家が少なくありません。
晴海フラッグに関しては同時に問題点の指摘も多く見られ、湾岸エリア全体に今回きわめつけの否定意見を述べている週刊誌の記事を見つけました。はっきり「湾岸エリアはおすすめしない」とするその理由をご紹介します。
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湾岸エリアと武蔵小杉のタワマンに意見
記事が載っていたのは週刊SPA、書き手は自らもタワマン住民である古川博之進さん。住民ならではの鋭い指摘がうかがえます。
対象に上げられているのは、湾岸エリアと武蔵小杉。
どちらも対外的には人気ダントツの場所なのですが、古川さんの言われていることはこれまでも当ブログでも取り上げてきたことを裏付けることが多いです。
共通点を確認しながら、どのようなマンションなら買っていいのか、買うべきなのかを考えました。
湾岸エリアはマンションの質が低い?
一つはやはりタワーマンションというのは、 価格を抑えるために建築のレベルが下がってしまったということです。
もちろん、建物本体に施工不良などの何らかの問題があるといったことではありません。
マンションの、特に目に見えるところの質の方ですが、その点について古川さんは
2000年以降は、建築にかかるコストが上がってしまったせいもあり、レベルを下げ、あくまでも“高級風”な仕様に納めることになった
建築の強度や耐震性などは十分でも、仕様の点ではこれまでのマンションに比べると明らかに劣るところがあるということなのです。
湾岸エリアだけでなく新築マンションの質が低下
同様のことは、これまでも住宅アナリストの榊敦司さんや、マンションウオッチャーと言われる人たちにも指摘がされてきました。建築費が上昇したしわ寄せですが、目で見てわかる内装や仕様の「劣化」には、わかる人にとっては残念な感が拭えないでしょう。住み替えをしようとして、これまでより悪い、では話になりません。
もっともそれは、湾岸エリアやタワマンに限ったことではなくて、通常の新築マンションにも、ほぼ共通する劣化だというのです。
そのために、新築より中古マンションをすすめたいとまでいうマンション評論家もいるくらいですので、複数の人が様々な物件について感じている変化であることは間違いのないところだと思います。
タワマン住民の格差の問題
もう一つ古川さんの言うことは、こちらは、他の意見とは違う新しい視点、それは、マンションに住む人の格差の問題とそれに遭わないためにはどこを買ったらいいかということです。
「マンションを買うなら管理を買え」ということは、今までも言われてきたことなのだそうですが、区分所有の建物であるマンションは、年数がたつにつれて共有部分の修理や場合によっては建て替えなど、費用が掛かる問題は必ず出てきます。
その時に住民同士の話が合わないと何も進まなくなってしまう。ここまでは、他でも同様に言われてきたことですが、古川さんはそれを避けるには、最初から住民同士に経済格差の少ないマンションを買うのが良いと言っています。
30階までのタワマンで経済格差を避ける
しかし、人の懐事情などはあからさまにも聴けず、そもそも情報が伝わるわけでもありません。
それを一体どのように見極めるのかというと、タワマンとはいっても20階から30階くらいのものを買えば、文字通り、桁違いの貧富の差、経済格差は避けられるという意見なのです。
この規模なら、価格差も1000万円くらい、ローン返済額の幅もせいぜい月4万円くらいということで、修繕にしても何にしても、同じ経済レベルであれば話が合いやすい、もめることも少ないという見通しです。
「湾岸エリアはおすすめできない」理由
さらに、古川さんの言うことで聞き捨てならないのが「湾岸エリアはおすすめできない」という点です。
その理由としては
・高層階で経済格差が大きく将来の管理が心配
・住宅街が周りになく、住民の世代が偏っている
・ジムなどの不要な共用の設備があってお金がかかり過ぎている
・小学校など人口増加に追い付かない周辺設備やサービス
このうち、世代の偏りと周辺の設備には関りがあり、皆が同じ世代で同じ時に子どもを産めば、小学校は一度に定員オーバーになるという現象が起きます。
しかし、小学校やその他施設を住人の需要に合わせて十分に増設したとすると、今度はピークを過ぎるとその施設自体が不要なものになってしまうーーー新しい街には、そのような問題が起こってくる可能性が常にあります。
武蔵小杉は湾岸エリアのモデルケースか
この問題が既に起こっているところが、武蔵小杉。さらに、鋭い指摘だと言えるのが、武蔵小杉について古川さんの付け加えていることです。
建物の高さに関する規制を緩和することで、お金儲けの匂いを嗅ぎつけた大手デベロッパーが群がり、地域もそれを諸手を挙げて受け入れていった結果、街全体の将来像や課題に伴走して旗を振る人がいないのだ。
建てて売れればそれでよい人達が、懐を肥やして通り過ぎていっただけの現象なのである。
武蔵小杉の問題点は、今までもメディアが取り上げてきて周知のものとなっていますが、あるいは、これと同様のことが、これから栄えるべき湾岸エリアにも部分的に当てはまる点はないのでしょうか。
「五輪」という付加価値がなくなったら
湾岸エリアは、今は五輪前で実際にも活気のある状況であり、心理的にも「五輪」という付加価値がついています。
しかし、五輪後にそれがなくなって、実際に周辺エリアの人口が減っていく人離れが起きたとしたら、今度は何をもって街を活性化させるのか。
「新たな世代を呼び込む機会と捉えられればよいのだが、少なくとも私にはその名案が浮かびかねる」と言われると、今から頭を抱えざるを得ません。
そして問題は、そうなったときのタワーマンションの資産価値です。元々比較的安く買えると言われていますが、五輪後に価値が下落するようなことはないのでしょうか?
衰退する湾岸エリア?
そもそも、地方の土地に見られるような「人口減少」や衰退を、今開発中の湾岸エリアに同時に今から心配しなければならないとはどういうことなのか。
これはタワマンの町だけの問題なのか、それとも、これからの日本全体の問題の縮図を「タワマン」において見ているだけなのでしょうか。
いずれにしても、湾岸エリア、一見魅力的に見えるところでも、買うなら熟慮の末の購入をおすすめしたいと思います。
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