一人っ子の場合、実家をどうするかは悩みどころです。
相続はきょうだいがいるために大変なことはありますが、一人っ子の場合は一人っ子の利点を生かして早めの準備にあたることができます。
特に相続する家が地方の実家や築年の古い家の場合は、価値が落ちないうちに売却するのがいちばんのおすすめです。
一人っ子の実家の相続と売却について考えます。
一人っ子の実家相続
両親が田舎に家を持っている。自分は一人っ子だが実家に住むつもりがない。その場合は、早めに売却するべきだろうか。 |
お答え
実家に住まず、空き家となるのがわかっている場合、余分な家は持たない方が将来的に費用がかかりません。
その場合は、親御さんと話し合って生前に売却をしてもらうのがベストな方法です。
急ぐ理由は、地方の空き家の価値は、時間が経つほど過疎化と共に価格が下がるためです。
答えの根拠
その際、10年前は1200万円まで出すという人がいると不動産屋が伝えてきていました。
10年間の間に地価が落ちたので、周辺の家は土地だけで400万円、家を入れても500万円程度、全盛期の半分以下にまで下がっていました。
しかも、私の実家は相続をした後でも売れると思っていましたが、主要な企業の撤退で空き家率が18%に上昇。
さらに、相続後に家の欠陥や私道であることなどがわかり、売却に10年がかかってしまいました。
実家は空き家になる?
実家を相続するならその家に住むか、土地活用などで十分な収益が得られる場合に限られます。
それでなければ日本全国で空き家問題は起こりません。
まずは実家のあるエリアの不動産事情を調べて見てから検討を始めましょう。
実家が空き家になったら管理費用がかかる
実家が売れない場合の管理と出費、そのストレスはとてもたいへんです。
売れなければ空き家のまま一生持ち続けなければなりません。
売れない地域にある実家であれば相続は慎重に考えるべきです。
親が生前に売却をすることも視野に入れて、早めの売却をおすすめします。
一人っ子なら実家売却の準備を
一人っ子の場合は、親の家をそのまま自動的に相続することが決まります。
資産となる家なら喜ぶべきことですが、地価が低下した地域の実家の場合は一概にそうは言えません。
近年、空き家が「負動産」と言われる理由がそこにあります。
※相談は何度でも無料。まずは相談してみよう!
地価が右肩下がりだった実家
上記は、私が相続をした実家のあった北関東のある市の公示地価の推移をグラフにしたものです。
右片下がりのラインになっているので、「今売ったら一番高く売れる」と言うのはその意味です。
今ら売らなければもっと安くなります。
さらに5年後、10年後という長いスパンで考えた時には、それ以上の値下がりが予想されるのです。
相続はタイミングが選べませんが、実家を売るのは自分でも決められます。
高額の不動産は売り時を間違えると、数百万、場合によっては千万円単位の差が出てしまいます。
実家に今後住む予定がないのなら、売却をすることが正解です。
空き家が売却できる場合
空き家が売却できるエリアの場合なら、相続して家をもらうのももちろんおすすめです。
その際のポイントは、実家があるエリアが5年後や10年後でも空き家の資産価値を落とさない価格で売却できるところかどうかということです。
後になってもまったく売れないということはない、ここ数年くらいならばそれほど需要は落ちそうもない都市部の地域であれば、いったん相続をしてから後で売却をするという選択肢もなくはありません。
実家の土地は値上がりする?
ただ、土地の価格である地価が後から値上がりをするという可能性は、市街地以外にはほとんどないと思います。
保留の目的が「もしかしたら値上がりするかも」というところにあるのならば、現在の市場ではほとんど根拠がありません。
大部分の家はすぐに売却をする方が早道であり、価値が落ちずに売れる公算が高いでしょう。
実家売却のタイミング
もし、自分でも住まない、賃貸も無理、売るのも難しいエリアにある、というような実家の状況でしたら、親御さんが生きている間に売却をしてもらうのがおすすめです。
私の夫の2軒の実家のうち一つは、母がまだ生きているうち売却を終えており、今母が住んでいる家の方は、いつでも売却が可能なように兄の名義に変更しています。
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相続後に住まない土地は生前に売るのが良い理由
実家を早めに売り出すメリット
早めに売りに出しておけば、売れない時の対策も取りやすいです。
実際売りに出してみても全く問い合わせがなかったり、数年たっても売れそうもないという時は、その時点で買取に出す、または相続をしない、すなわち相続放棄という選択肢もないわけではありません。
相続放棄については
相続放棄の費用 ”放棄する”だけでは残る管理責任
実家の土地の処分
実際には相続放棄はなかなか難しい面がありますが、不動産の買取を視野に入れて早めに売却を検討した方がいいと思います。
所有する土地が畑や山林を含む広範囲の場合には相続放棄の他にも、有料の処分があります。
関連記事:
実家相続のリスク
注意すべきことは、いったん相続してしまった土地、つまり、自分の名前で登記をした土地は、基本的に売却ができない限り手放せないということです。
売れない不動産はあとは有料で手放すという方法が残ることになります。
私のように「ああ、あの時売っておけばよかった」と後悔しない道を選んでくださいね。
実家の売れる価格は?
いずれにしても、相続をするしないは、実際の実家の資産価値、売りに出すとするといくらで売れるのか、そもそも売れるか売れないかということが大きな基準になります。
自分で調べる場合は、一般的な不動産サイトの他、国交省の公開するサイトを使った下のような調べ方があります。
正確な価格は査定してもらう
他にも固定資産税の評価額、公示価格などもありますが、これらは実勢価格とはかけ離れていることがああります。
必ず、その地域では実際いくらで売買されているのかのチェックが大切です。
さらに、個々の物件についての査定を経て正確な価格がわかるようになります。
市街地と団地と田舎では価格がまったく違うからです。
実家の地価の値下がり
実家の価格を調べる場合は、実家を買った時の価格は参考にはなりません。
地方は、数千万円で買ったところであっても地価が値下がりしているところがほとんどなので、1千万円を超えればかなりいい方です。
実家の解体費について
実家の築年が古い場合は、解体費を差し引いた上の土地のみの売買となりますので、さらに価格は下がります。
解体費はおおよそ、150万円から200万円くらいです。
地方なら家の価格が1千万円を割るのも普通ですし、1桁下がる数百万円のところも、値がつけばラッキーというところもあります。
家だけで売れなければ、そこからさらに解体費を差し引いて売るという計算になるのです。
関連記事:
家の解体費用はどのくらい?
実家についての冷静な判断が吉
地域によっては大変厳しい状況であり、それが空き家問題にもつながっています。
自分の住み慣れたところはひいき目もあって、どうしても最初はそう思えないのですが、客観的で冷静な判断や第三者の意見も参考にしましょう。
実家の売却査定のメリット
実家の価格はかなり幅があって一概には言えないので、やはり個々の物件の資産価値を査定してもらっておくのがいちばん参考になります。
その際に、不動産業者に売れ行きについても相談をしてみて、売るタイミングが良ければ、そのまま売る方がいいです。
地方の家は早いほど高く売れる
地方の家に関しては早く売れば早く売るほど高く売れます。
今後値上がりするということはまずないので、売りに出せるというのなら、今がベストタイミングということです。
最初から売れないと思われる家に関しては、逆に相続が発生するより前にすぐに売却の準備に向けた行動を起こしましょう。
相続が発生するまで何年も間があるという場合には、いざその時になってからでは既に売れなくなってしまっている可能性があるからです。
売却のタイミングを逃さない
今は地方は空き家問題はたいへん深刻になっているところが多く、売り時を逃すと価格が大きく下がってしまう場合があります。
また、地域によってはそのまま売れなくなってしまう場合がありますので注意が必要です。
空き家が売れるか売れないかは地域差によります。
都市部なのか郊外なのか、市街地なのか団地なのかによっても売れ行きは大きく違ってきます。
当然駅に近い空き家と田んぼの真ん中にある家とでは同じようには考えられません。
やはり個々の家に対して、査定をしてもらうのがおすすめです。
実家が売れない家や土地の場合も
また、自分で買った家でない実家は、いざ売りに出そうとしても売れない物件だったということがわかる場合があります。
古い田舎の家の場合は土地の計測が必要であったり、境界が不明だったり、道路が市道だったなど様々な問題が起こる場合もあります。
所有者である親でも把握がしにくいことも多々ありますし、自分で買った家でなければなおわかりにくいです。
売りに出そうとして売れなくなったという時はたいへんに困ることになります。
売ろうとして売れなかった実家の例
私が中学生から家族で住んでいた実家の例です。
普通の団地の一軒家でしたが、いざ売りに出そうとして、うちの場合は道路が持分なし私道であることがわかりました。
さらに、家が住んでいては問題がなくても、欠陥住宅であると指摘されました。
しかも家屋が未登記のままだったことも分かったのです。
これは法務局で書類を請求すればすぐわかりますが、まさかそんなことになっているとは、親子でも話題になることはなく、子どもでもまったくわかりませんでした。
実家の不動産査定のおすすめ
うちの場合は特殊な例の方ではありますが、実家とはいえ、親が生前中に様子をよく聞いて必要な不動産業者に見てもらうなどしておいて、相続に供えるべきだったと今になってみると思います。
住んでいたことのある家でも、専門家である第三者に一度はきちんと査定を受けないと、家の状況はけっしてわかりません。
売却の場合に備えて、不動産としての価値をまずは把握しておくこと、その上で対処を決めることが大切だということを痛感しました。
今は、私が実家を売ったときとは違って、インターネットで手軽に無料の査定が受けられます。
価格が希望通りであれば、もちろんそのまま売却にもつなげられますので、ぜひ活用してみてください
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一人っ子が実家を相続する際の条件
空き家を相続して利益となるのはどのような場合か、その条件は下のようにあげられます。
- ゆくゆくは実家に住むことが決まっている場合
- 空き家や土地を今後も活用できる場合
- 空き家を後からでも売却ができるエリアの場合
それぞれの場合について考えていきましょう。
一人っ子自身が実家に住む場合
一人っ子のあなた自身が実家に住むという場合は、実家を相続することには何の問題もないと思います。
その場合気を付けることは
- 年単位で長く空き家にしない
- 長く空き家になる時は万全の管理をする
- 自分でできない時は空き家管理のプロを頼む
できれば空き家の状態を長く続けずに住めるのがいちばん良いです。
空き家の管理が重要
あるいは、やや年数が経ったとしても、家が老朽化する心配がないようにきちんと管理をしておけば空き家になっても問題はありません。
遠方で管理が難しいという場合には、空き家の管理を請け負う業者がいますので、そちらを探して依頼するといいと思います。
親御さんが万が一の場合には、そのまま相続手続きをしましょう。
大切な家にそのまま住めるというのはうらやましい話でもあります。
空き家の維持費をチェック
親が所有者であるときとは違って、家の維持には何かとお金がかかります。
その場合、空き家にいったいどのくらい固定資産税がかかるのか、また管理・維持費についてもチェックしておきましょう。
空き家期間を含めた維持費用と比べてみても、家があった方がいいと思ったら迷わず相続できます。
実家の維持のための費用が相殺できるかどうかというのは、実家を相続する時の大切なポイントです。
詳しくは下の記事をお読みください。
この場合の”相殺”には、心理的なものと実質的なものとがあり、中にはお金がかかっても、実家を手放したくないと思われる方もいるでしょう。
その気持ちで相続を決めて実家を受け継いでも、費用がかかってどうにもならず、売ることになったというケースももちろんあります。
実家が売れない問題
それはそれでいいと思うのですが、問題はその時に空き家が売れないということが起きてしまうと困ったことになるのです。
間違っても私のように、最初から空き家が売れないとわかっている、空き家率18%の町での相続などはおすすめできません。
なので、相続しようとする場合でも、その前の十分なチェックが必要です。
実家を活用
もうひとつ、実家を活用できる方法があるかどうかは、相続するしないの重要なポイントです。
活用の方法はいろいろありますが、下のように大別できます。
- 空き家を活用する方法・・・賃貸・自分で住む・施設などへの転用
- 土地を生かす土地活用・・・駐車場経営・売電事業などの収益を得る
空き家や空き地が収益を生むと、毎月副収入を得ることができます。
このようなめどが立つような実家と地域であれば、相続をしても心配ないでしょう。
空き家を賃貸に活用
空き家をそのまま生かした活用の方法は、賃貸が筆頭にあげられます。
空き家が立地の良いところにあり需要が見込める場合は、賃貸の戸建として貸し出すことができます。
一戸建ての家賃は高いため、場所によっては10万円以上の賃料も見込めます。
ただ、賃貸の需要がないエリアであればそもそも賃貸は向きません。
賃貸には資金が必要
また、実家の築年が古ければ、あるいは古くなくてもある程度のリフォームと、そのための資金は必ず必要です。
賃料が入るエリアであれば、リフォーム代はおおむね相殺できますが、必要な時はローンを組んで返済をするなどの綿密な計画が必要です。
民泊の運営
実家が空港や観光施設に近くにある場合は、民泊にすることもできます。
必要な設備を入れる、管理の人を置くなどが必要ですが、いずれもプロのプランナーに相談して経営することになります。
施設として活用
他にも公共の施設として賃貸に準じた活用もできますが、すべての空き家に需要があるわけではないことと、収益も大きくは見込めないかもしれません。
土地活用ができる実家
空き家の建物を解体後に土地活用するという方法もあります。
- アパート経営
- 駐車場
- 資材置き場
- コインランドリー
- トランクルーム
- ソーラーパネルの売電事業
資金に余裕があり立地が適していれば、相続税対策にアパート経営をする方もいます。
それほど資金がかけたくなければ、駐車場や田舎でも資材置き場などの用途もあります。
都市部なら、コインランドリーやトランクルームなど用途もあります。
その土地であればどれが適しているのか、どのくらい収益が見込めるのかは土地活用のプロならすぐにわかります。
資料の請求は無料なので、まずは目を通してみてください。
相続税対策はもちろん、相続がそのまま収益化のチャンスになる可能性もあります。
うまくいきそうもないと思ったら、売却を決めればいいのです。
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一人っ子の実家相続
最後に一人っ子の実家相続について補足しておきます。
相続税に関する法律が、平成27年に改正となりました。
それまでには、基礎控除が5千万円だったのが、3600万円となりました。
1400万円の違いが大きいです。
そして、兄弟がいる場合の相続税の控除額が、一人1千万円だったのが600万円に減額されました。
それによって相続税が支払えないという人がたくさん出てしまったのです。
一人っ子の相続例
一人っ子の相続例には梅宮アンナさんの例があります。
梅宮アンナさんはお父さんである梅宮辰夫さんが亡くなる前に、税理士に
一人っ子だから、渋谷の家と真鶴の家に相続税がかかると支払えないかもしれない。
と言われたそうです。
そこで、梅宮アンナさんには娘さんがいるのですが、その娘さんを梅宮家の養女にするという方法をとりました。
そうすると節税できるという方法をその税理士さんに聞いて、娘さんをお父さんの養女、つまり、自分と姉妹にするという方法を選択したそうです。
若干の批判はあるようですが、そのくらいしないと相続税で財政難になってしまうというのですから大変です。
一人っ子と相続税
というのも、きょうだい姉妹がいると、相続税の支払いが変わるためです。
相続税の基礎控除は
「3,000万円+600万円×法定相続人の数」
です。
梅宮アンナさんは一人っ子だから600万円ですが、娘さんがお父さんの養子になって、自分の姉妹ということになれば、「600万円x2」ということになります。
一人子は相続に不利
節税対策だそうですが、娘さんが法律的に妹になるというのは大変なことではないでしょうか。
そして、一人っ子の場合は、実家に対処するのも一人でたいへんなのですが、それよりもまず、相続税の点で著しく不利であることは、梅宮さんのケースを見れば明らかです。
実家をとうとう売却
そのくらいなら、家を売ったらいいのになあと思うのですが、梅宮さんは、実際に父辰夫さんの死後に神奈川県の大きな豪邸を売却することになりました。
最初は維持できると思って、相続されたようですが、あまりに大きな家なので経費が掛かって到底維持ができない。
そのために売却を決意されたようです。
そのくらいなら、最初から家を売っておけば、娘さんの戸籍に手を加える必要はなかったのではないかと思います。
松本明子さんの例
梅宮さんの家は特別な豪邸ですので、一般の人とは違うのでは同じようには言えませんが、松本明子さんのケースも思い出しますね。
松本さんの場合も含め、結局一度は相続した家を売却をしているケースがほとんどです。
実家だから大切にしようと思ってもt、要は経費が掛かり過ぎて維持ができないのです。
空き家を売ってもマイナスに
松本さんは、空き家にかけたお金が1800万円、空き家を売った時に受け取った代金は640万円というものでした。
自腹で出した部分から代金を差し引くと、1200万円が持ち出しなのです。
そのくらいなら最初に売ればよかったということをたびたびお話しされています。
一人っ子の実家の対処まとめ
最後に一人っ子の実家相続と売却についてまとめると、
一人っ子だからたいへん、というのは、相談をする相手がいないということがまず挙げられますね。
そして、その後は、相続税で不利だということが2つ目です。
実家の売却に関しては、自分が住まないという場合は、他に譲る人がおりません。
愛着がある実家だからといって、相続をしたなら、必ず経費が掛かって払いきれない場合がほとんどだということを知っておいてください。
その上で、実家が秋aになる予定であれば、くれぐれも早めに売却をすることをおすすめします。
大切な家であるということと、維持ができないということは別問題です。
家の維持のために犠牲になるのは考え物です。
冷静に判断をして住まない実家は早めに売却を検討しましょう。
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